表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

81/101

第80話「決勝───」

観客の歓声が、地響きのようにコロシアムを揺らしていた。

光のアリーナに、二つの影が立つ。

片や、不屈の挑戦者、エンガ。

片や、神の領域に足を踏み入れた存在、ゼクス。


「ついにここまで来たぞ、ゼクス!」


エンガは拳を握り、全身から闘志を放つ。

ここまで何度も倒れ、何度も立ち上がってきた。

そのすべては、この瞬間のため。


ゼクスは対面に立ち、静かに微笑んだ。


「……ああ、来ると思ったさ。お前なら必ず」


その声に、わずかな哀しみが混じる。


「なんだ…何か隠してるのか?」


エンガの眉が動くが、ゼクスはもう聞いちゃいない。

その瞳には、“人間”としての光が残りながらも、機械的な決意が身体を蝕んでいた。


――そのころ、別の場所。


ピノンは、震える声でルミナたちに現実を告げていた。

「ゼクスは……もう自分の意思で戦ってるわけじゃない。戦闘プロトコルに支配されてる。手加減は……不可能だ」

ルミナの顔から血の気が引く。

「じゃ、じゃあゼクスが勝ったら……」

「さぁな、このゲームがどうなるか、それに別のネットワークがどうなるか」

静まり返る室内。

モニターに映る二人の姿が、まるで世界の終わりを告げるようだった。


――同時刻。


グラウィスは通信端末を握りしめ、焦りを隠せずにいた。

「俺が台湾の首相と連絡を取る! ゲームサーバーが攻撃対象にされる前に!」

側にいたルナが制止する間もなく、通信が繋がる。

『こちら台湾政府──』

しかし、その声は途中で不自然に途切れた。

「……!? 何があった!?」

背後から別の声が入る。

『首相が……突然眠りに……!医師が到着──』

ノイズが走り、通信が切れた。


「やられた……!」

グラウィスの拳が机を叩く。

すぐに国連へ回線を切り替える。

「このままでは、オンラインサーバーを核攻撃することになる!停止命令を──!」

『すでに決議済みです。“削除=核攻撃”は、全会一致で承認されました』

冷たい声が返る。

「……なんて愚かなことを……!」


その裏で、ジーンは指を高速で動かしていた。

「こちらはこちらでやるしかないね!」

米軍の発射システムへと潜り込み、コードを改ざんする。

警告音が鳴り響き、画面に赤字が走る。

《発射プログラム遅延成功──有効時間、5分》


「これで……少しは稼げるはずさ。けれど――」

ジーンは唇を噛む。

「発射そのものは、止められない……」


再び視点はアリーナへ。

雷鳴のような歓声の中、二人の戦士が対峙する。

ゼクスの背後で、システムの光が脈動する。

「この戦いの先に、何があろうと……俺は戦う」

エンガは拳を構え、答えた。

「上等だ。なら俺は、あんたを超える!」


空が裂ける。

閃光と衝突の音が、世界を揺らす。

だがその裏で、誰も知らぬ『現実のカウントダウン』が、確実に進んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ