第75話「魔力尽きるまで」
エンガの全身から、熱が噴き出した。
皮膚の表面が赤く染まり、空気が震える。
「……っらぁあああああ!!!」
その瞬間、足元の大地が爆ぜた。
灼熱によって発生した上昇気流が、まるで炎柱のように彼の身体を包み込み、空へと押し上げていく。
「これで──どうだァッ!!!」
拳に魔力を集中させ、スピードと衝撃を極限まで高めた。
その拳から放たれた一撃――
「ありったけ!」
それは、光の槍のように空を突き抜け、真上のライガを目掛けて一直線に放たれる。
しかし、ライガもまた黙ってはいなかった。
彼は空中で両腕を広げ、掌を下に向けて詠唱する。
「天よ、降りろ──!!」
その声と同時に、上空からとんでもない圧力の風が叩きつけられた。
まるで空そのものがエンガを拒絶するかのように、暴風が彼を押し戻す。
「さすが、“空の支配者”!!」
地上から吹き上がる熱風と、天から叩きつける突風。
二つの“気流”が正面衝突し、衝撃波が闘技場全体に広がる。
金属の壁が軋み、観客席のガラスがひび割れた。
空気が震え、砂が舞う。
視界の全てが、熱と風に飲み込まれていく。
――この戦い、どちらかの魔力が尽きるまで終わらない。
「お前が空を支配するってんなら……!」
エンガは拳を握りしめ、歯を食いしばった。
「俺は“地”を燃やして、天までぶち上げてやる!!」
ライガの瞳が雷光を帯びる。
「ならば試してみろ、地上の戦士よ――空がどれほど“高い”かを!」
雷鳴と熱波が交錯する。
光と風が乱れ、世界が揺らぐ。
限界のその先で、二人の力はせめぎ合い続けた。




