第69話「雷鳴、認めし者」
激しい衝突音が鳴り響き、光と雷が闘技場を照らしていた。
観客は息を呑み、誰もがステージ中央の二人を見つめている。
エンガの拳が唸るたびに床が割れ、ライガの剣が閃くたびに空気が焦げた。
雷光と衝撃波がぶつかり合う――それは、もはや芸術のような戦闘。
「おらぁッ!!」
パワーブーストを発動したエンガが、渾身の一撃を繰り出す。
しかしライガはそれを紙一重で弾き、稲妻のような反撃を返す。
「雷閃撃!」
光の槍がエンガの頬を掠める。火花が散り、エンガはわずかに息を呑んだ。
(やっぱ速ぇ……だけど、見えてきたぞ)
エンガは素早く走速き加速に切り替え、回避と同時に間合いを詰める。
今度は連撃。拳が連続して打ち込まれ、雷撃の隙間を縫うように突き刺さる。ライガが笑った。
「……なるほど、スピードとパワーを切り替えるか。面白い戦い方だ」
エンガも息を整えながら口角を上げる。
「アンタこそ、人間離れしてんだよ……雷を纏ってるのに動きがブレねぇ」
ライガは剣を肩に担ぎ、わずかに視線を落とした。
「“雷鳴の剣帝”なんて呼ばれてるが、俺も完璧じゃない。ゼクスに勝てず、ここに留まっているだけの、負け犬さ」
「……ゼクスに?」
「そうだ。奴は別格だった。だが――お前は、あいつに似ている」
ライガの瞳が鋭く光る。
「だからこそ、ここで潰しておきたい」
次の瞬間、空気が震えた。
ステージ全体を包むように雷が走り、観客の歓声がかき消される。
「雷は高い所に落ちる!」
ライガが放った究極技。
雷の結界が形成され、逃げ場が消える。
(やべぇ……!)
エンガは一瞬で判断した。
ブーストを解除し、全ての力を拳に集約する。
拳が震えるほどのエネルギーが、体中を駆け抜ける。
「いくぞ――音速拳は止まらない”!!」
雷と音の衝突。
轟音が会場を包み、閃光が視界を白く染めた。
爆煙が晴れたとき、二人は互いに距離を取り、荒い息を吐いていた。
どちらも倒れてはいない。
ライガはわずかに笑う。
「……まさか、俺の結界を正面から壊すとはな」
エンガは拳を握り直し、にやりと返す。
「まだまだだろ、雷鳴の剣帝」
ライガは少しだけ剣を下ろし、言葉を残す。
「お前……本当にゼクスの先を見ているのかもしれんな」
そう呟きながら、彼は再び構えを取る。
その瞳には、わずかな敬意と本気の闘志が宿っていた。




