第68話 「鬼門の第5試合」
ついに、グラディエーターノヴァ第5試合が幕を開けた。
観客席は割れんばかりの歓声に包まれ、ステージ中央の光がゆっくりと収束していく。
「……ここまで、来たか」
エンガは深く息を吐いた。
今までのどの試合よりも、空気が重い。
ここを突破すれば――決勝。
その先には、宿命の男・ゼクスが待っている。
彼にとって、この試合こそが“鬼門”だった。
対面のゲートが開く。
眩い閃光の中から現れたのは、銀色のマントを翻す男。
長い剣を背に、まるで雷そのもののようなオーラを纏っている。
実況の声が高らかに響く。
『――登場、第3位、“雷鳴の剣帝”ライガ!!』
観客が一斉に立ち上がる。
「うおおっ、ついにライガだ!」
「あのエンガと激突かよ!」
「あの2人名前、似ててウケる!」
会場が揺れるほどの熱気。
エンガは拳を握りしめた。
(負けられねぇ……ここで倒れたら、ゼクスには届かない)
ライガが剣を抜き放つ
青白い雷がほとばしり、床の金属を焦がす。
「ゼクスの名を口にする男よ。お前もあいつの亡霊を追ってるのか?」
エンガは静かに答えた。
「亡霊か。あいつは――俺が生きて倒す、相手だ」
瞬間、ステージが閃光に包まれた。
雷鳴が轟き、エンガの足元に電流が走る。
ライガの一撃――開始早々、全開の一振りだった。
「ッ……速い!」
反射的に“スピードブースト”を発動。
エンガの姿が光の残像を引くように横へ飛び、剣撃を紙一重でかわす。
しかし次の瞬間、ライガの剣が弾けた。
「雷撃連装”」
雷の刃が三連、四連と連続して飛び出す。
(コイツ、ピノンと同じ魔法かと思ったが、何かが違う。)
エンガはスライドしながらカウンターを狙う。
拳を構え、今度は“パワーブースト”を起動。
「はああっ!!」
一撃が風圧を伴い、雷を弾き飛ばす。
衝突音が鳴り響き、観客が息を呑む。
ライガが口元を歪めた。
「悪くない。だが、雷は一瞬で天地を制す――」
天井から稲光が走り、エンガの頭上へと落ちた。
閃光の中、エンガの目がぎらりと光る。
「だったら――光を貫く音で返すまでだ!」
拳に魔力を集中させる。
「俺の新技!音速拳!!」
音速拳が唸りを上げる。衝撃波が雷を打ち消し、ステージ全体を震わせた。
観客の歓声が爆発する。
『なんという攻防だああっ!!』
そして、雷と音がぶつかり合う中――
エンガは悟る。
(この戦いの先に……ゼクスがいる)
拳を握り直す。
鬼門の第5試合――運命を分ける戦いが、いま火花を散らした。




