第61話「グラディエーターノヴァ開会式!」
闘技場の天井から、光の粒子が降り注ぐ。
巨大スクリーンに「グラディエーターノヴァ」の文字が映し出されると同時に、観客席から轟音のような歓声が沸き上がった。
「ついに始まるのか……」
壇上に並んだ十人の精鋭。その中に、エンガ──夏炉の姿があった。胸に響く鼓動と同じくらい、歓声が響いてくる。
彼は一瞬、客席を見やる。そこにはブレイズ、カイ、ミラ──ギャラクシールオンラインの仲間たちの姿もあった。それが、不思議と背中を押してくれる。やがてセレモニーが終わり、選手たちは控室へと戻っていく。そのとき──
「やっほ♪ 久しぶり、エンガ」
通路の陰から現れたのは、紫と黒の闘士服を纏った少女。金属音を立てながら、細身の鎖が彼女の周囲で揺れる。
「……お前……ルナ!?」
最初の一戦、ストリートクラッシュで戦った魔鎖のルナ覚えていないわけはない
「そっ、魔鎖のルナ様だよ〜♪ 一回戦の相手、よろしくね」
エンガは思わず声を上げる。
「お前、俺より先に一桁台に行ってたのか!?」
そちらの方が驚きだった。そもそもランキング戦に関してはゼクスが何故か用意してくれたので、申請の仕方はエンガ自身分かっていないのだが、
「ふふん♪ 6位をぶっ飛ばして、6位になったからね〜」
エンガはその言葉に疑問を感じた
「ん? その言い草だと……6位しか倒してないみたいなんだけど」
「ん? ランキングの人を倒したら、その順位になれるんだよ?」
その言葉は驚愕の一言で片付く、エンガは普通に頭を抱えた。
「……じゃあ15から一人ずつ倒してた俺って」
「馬鹿みたい?」
「先に言うな!」
ルナは楽しげにケラケラと笑い、鎖をひと振りして見せる。
「でもね、あの時とは違うよ。鎖も、私自身もね」
「……俺も同じだ。前の俺とは違う」
二人は自然と拳と鎖を軽くぶつけ合い、互いの存在を確かめた。
やがてルナは、にやりと笑う。
「明日が楽しみだね、エンガ」
「おう……全力で来いよ」
──その光景を、通路の奥からじっと見つめる影があった。
黒いフードを被ったその人物は、低く呟く。
「監視対象を発見」
足音を残さず闇へと消えていく。歓声と熱気に包まれた祭典の裏で、何かが静かに動き始めていた。




