第58話「祝福の陰で」
観客席から大歓声が響き渡る。
至近距離の死闘を制し、ついに“10位”の称号を掴み取った男──エンガ。
血と汗にまみれたその姿に、会場は割れんばかりの拍手を送っていた。
「エンガ!やったな!」
ギャラクシールオンラインの仲間たちが駆け寄り、肩を叩く。
隠れているルミナもまた、悔しそうに、しかしどこか誇らしげに笑みを浮かべた。
「……ホントにしぶといんだから」
ピノンもステージ下から見上げていた。
「まさかコイツが本当にここまで這い上がるとはな……悪くねぇ」
珍しく目を細め、その声には喜びが混じっていた。
そして──会場の大型モニターに、1位ゼクスの姿が映し出される。彼は無表情のまま、淡々と告げた
「──おめでとう、エンガ。次は、大会だ」
一瞬、場が静まり返る。
その声は冷徹に響いたが、どこかで温かみを感じさせるものだった。
観客席の誰もが、その一戦が避けられない運命だと理解していた。
──だが、その裏で。
暗い管制室。
無数のモニターに映し出される戦況を前に、軍服姿の男たちが低く囁き合っていた。
「……そろそろか」
「はい、計画はすべて整っています。表向きは”AIの暴走を止める”……だが、真の狙いは──」
その言葉は誰にも聞かれないように、闇の中へと溶けていった。
歓声に包まれる会場と、静かに進行する陰謀。
栄光と破滅が同じ舞台で交錯し始めていた。




