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第55話「焼け焦げた地面」
互いの足は焼け固められた地面に縫いつけられ、逃げ場は完全に消えた。
距離を取って回避もできず、飛び道具を撃てば自分にも返ってくる。残されたのは肉体をぶつけ合う至近距離の戦いのみ。エンガは息を荒げながら拳を構え、にやりと笑う。
「足が固められちゃ、俺の攻撃を受けるしかないだろ!」
目の前の妹は、すぐさま鋭い返しを放った。
「それはあなたも同じことよ!」
姉は汗をぬぐう間もなく、鋭い眼差しでエンガを見据える。
「泥臭いですが……やってやりますわ!」
拳と拳、声と声がぶつかる。
衝撃波のように響く打撃音。熱と光の余韻を残す中、三人は鎖で繋がれた囚人のように、だが誰よりも自由な戦士のように、至近距離での意地と覚悟を叩きつけ合っていた。
足が縛られているからこそ、退路はない。
だからこそ、一撃に全てを懸ける。
拳が火花を散らし、叫びが空気を震わせる。
泥臭く、鮮烈で、逃げ場のない肉弾戦が――今、幕を開けた。




