第52話「光と音の狭間──弱点を穿つ拳」
ステージに降り立ったエンガの足音が、観客席にまで響いた。光と音の奔流が交差する中、その姿はまるで嵐に挑む孤高の戦士のようだった。
「ふふ……勇気だけは褒めてあげる」
ステージ中央に立つシューティングスターが微笑む。眩い閃光が弾け、耳をつんざく音が炸裂する。光と音の洪水は、ただ立つだけで体力を削り取る。
「くそっ、派手すぎだっての……」
エンガは歯を食いしばり、両足に力を込めた。だがその瞳は冷静にステージを追っていた。
(光と音……同時に重なった瞬間の瞬間火力はブーストを超えている。たが、ずれるタイミングが何処かにあるはず)
舞台装置のように仕組まれた攻撃は、完全ではない。強烈な光が放たれる刹那、音の衝撃は一拍遅れる。逆に音の波が支配する瞬間、光は一瞬薄れる。そこに“暗と静”の狭間が存在していた。
「見えた……!」
エンガが地を蹴る。ブーストの光が彼の足元を駆け抜け、舞台袖から中央へ一直線に突進する。
「無謀ね!」
シューティングスターが手を振り上げた。
再びレーザーが走り、低音が炸裂する。だがエンガは怯まない。拳を高く掲げ、あえて光と音の狭間に飛び込んだ。
「お前らの武器は強い!だが──それで隙を晒すのはおざなりだぜ!!」
暗を切り裂くように放たれた拳が、シューティングスターの胸元へと迫る。
光と音の合体スキル。その栄光に満ちたステージに、ついに亀裂が走ろうとしていた。




