第39話「破片を踏みしめて!」
空を舞う木片や瓦礫が、無重力の中を漂っている。
エンガは目を細め、次の一手を決めた。
「壊せないなら……利用するまでだ!」
彼は迫る破片に片足をかけ、思い切り蹴りつける。
「ブーストォ!」
加速した身体は破片を蹴るたびに弾丸のように推進し、一直線にグラヴィスへと迫っていく。
「ほう、破片で移動するか……!」
グラヴィスが低く笑う。だが同時に、彼の周囲の瓦礫が次々と浮き上がり、盾のように配置される。
「だが、進む先が塞がれていたらどうする?」
巨大な岩塊がエンガの進路をふさぐ。
正面突破は不可能──普通なら、だ。
「なら……割って通るだけだ!!」
拳を突き出す瞬間、エンガは進行方向をわずかにずらし、岩塊の端をかすめるように殴り抜いた。
岩がひび割れ、衝撃で生じた破片がまた新たな足場となる。
「ブースト!」
足が赤く燃え上がり、次の破片を蹴る。
──前進、破壊、そして推進。
その動きを繰り返すたびに、エンガは空を駆け抜ける戦闘機のように速度を増していった。
「無重力をものともしない……それが、貴様の戦い方か!」
グラヴィスは目を細める。
だがその瞳に、わずかな愉悦が宿っていた。
「面白い……だが、真の重力の恐怖をまだ知らぬな!」
周囲に浮かんだ瓦礫が、まるで惑星のように軌道を描き始める。
エンガを中心に、重力の檻が形成されようとしていた。
「来るなら来いよ! 俺は止まらねぇ!」
エンガは叫び、次なる破片へと足を伸ばす。
──破片を踏みしめ、空を切り裂く拳が再び光る。




