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第34話:「残り1の勝利」
轟音が響いた。
鉄と肉の拳が最後の一撃を描き、リング中央で火花を散らす。
「うおおおおおッッ!!!」
「ぬうううううッッ!!!」
拳と拳がめり込み、床石が粉砕され、衝撃で観客席の椅子までも揺れる。
そして──両者が同時に弾き飛ばされた。
ドガァァン!!
リングに叩きつけられ、埃が舞い上がる。
沈黙。
観客全員が、息を呑んだ。
「……どっちだ?」
「今の、相打ちじゃ……?」
砂煙の中、先に動いたのはレイジだった。
鉄化が解け、血を吐きながらも上体を起こす。
「フッ……お前の勝ちだ……エンガ……」
そう言った次の瞬間、彼の体力ゲージが赤く点滅し──ゼロに沈んだ。
レイジはそのまま倒れ込む。
「勝者、エンガァァ!!」
アナウンスが響き渡った瞬間、エンガも地面に大の字に倒れ込む。
視界の端で、自分の体力ゲージを確認する。
【体力:1】
(……マジで、ほんの一撃の差……。少しでも気を抜いてたら、俺が負けてた)
全身が痛みで動かない。だが、口元だけは自然に笑みが浮かんでいた。
「…………これで、13位……か………へへっ………」
リング外で見守っていた観客たちは、静かな感嘆と拍手を送っていた。
勝敗を超えた戦いの余韻に包まれながら──エンガは薄れゆく意識の中で、エンガのモヤは完全に晴れていた。




