33/101
第32話:「鉄壁を崩す理」
「俺の鉄に痛覚なしを砕けるかよ!」
レイジの両腕は鋼鉄と化し、観客席からはどよめきが起きる。殴るたびにリングがきしみ、衝撃波で床石が砕け散る。
エンガは拳を構えながら、必死に頭を回転させた。
(正面からぶつかれば潰される……氷女の時と同じ“熱”じゃ駄目だ。鉄は溶けるほどの熱量が必要だし、そんな出力は今の俺にはない!)
一瞬、足元に視線を落とす。割れたリングの隙間から立ち上る土埃。
(……そうだ。鉄は硬い。だが硬すぎるモノは、狙いどころを突けば──)
「ほらどうしたァ!!」
鉄の拳が振り下ろされる。エンガはギリギリで横に跳び、床が陥没した。
「お前の鉄壁を……一点突破で割る!!」
エンガは超加速を発動!足元の氷戦のときと同じ摩擦熱で拳を赤熱させつつ、今度は“同じ場所”だけを叩き続けた。
鉄の装甲に赤い亀裂が走る。観客席がざわついた。
「……ほぉ、やるじゃねぇか」
レイジの笑みが深まる。
「硬さに硬さをぶつけるだけじゃ砕けねぇ。……理屈で崩すか、悪くねぇな」
だが次の瞬間、レイジの全身がさらに鉄化し、まるで要塞のように立ちはだかる。
「けどなァ──理屈じゃ俺は止められねぇぜ!」
リングに重低音が響き、次なる衝突が迫る!




