第20話 「背中合わせの対決!」
──衝突、そして一瞬の静寂。
先ほどの激突で、焔牙の体力ゲージは赤く染まり、魔力残量も限界が近い。
(……もう一発くらったら落ちる)
息を整え、体勢を立て直した瞬間──!
──ズガァッ!!
「っ!」
咄嗟に顔をガードするエンガ。
だが、拳は──彼の顔ではなく、背後にいた別のプレイヤーに命中した。
「がっ……!? な、なんで……」
撃破されたプレイヤーが崩れ落ちる。
「これは“バトルロイヤル”だ。後ろにも目をつけろ」
そう、エンガは漁夫狙いに背後を取られていたのだ。
「……ありがとな」
エンガは唇を噛む。自分とピノンの戦いに夢中になりすぎて、周囲の敵を見失っていた。
(当たり前だ。体力は真っ赤。魔力もギリギリ……漁夫が狙うには絶好の獲物ってわけか)
ピノンは、そんな焔牙を横目に、ふっと笑う。
「言っただろう!お前はゼクスが認めたヤツだ、だからオレはな“お前と戦うために”ここに来たんだよ」
「……!」
その一言で、エンガの目が一瞬見開く。
そうだ。ピノンほどのランカーが、わざわざバトルロイヤルなんて“面倒な試合形式”に出る必要なんてない。それでも来た理由──
「なるほどな。……お前、バトルジャンキーってわけか」
「お互い様、だろ?」
ピノンは、愉快そうにニヤリと笑い、エンガの背中にぴたりと立つ。
──背中合わせの構図。
迫る新たな敵たちを前に、二人は構えを取った。
「さて──邪魔をする奴は、前に出ろ!!」
ピノンの言葉に合わせ、エンガも力強く叫ぶ。
「俺たちが相手になるぜ!!」
――真の強者たちが放つ、威圧感。
戦場の空気が、一気に変わった。
周囲のプレイヤーたちが、恐る恐る距離を取る。
それでも構わず、二人は前を見据えた。
(こいつと……この戦場を生き延びる)
(その上で……もう一度“全力”でやりあう!)
焔牙の中で、決意が燃え上がっていた。




