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第15話 「超えた先に」
「ふぅん。Ωに勝ったって?」
夏炉が顔を上げると、そこに立っていたのは一人の男。
VFGの観客エリアに立つその男は、鋭い目で夏炉を見下ろしていた。
「……お前は?」
「ただの通りすがりさ。ま、強いて言うなら──“上澄み”ってやつだな」
「上澄み……?」
男はふっと笑った。
「“Ωに勝った”からって、強くなったつもりじゃないだろう?」
「なに……?」
「Ωは所詮、AI。人間じゃない。──本物のプレイヤーの“強さ”は、そんなもんじゃないんだよ」
夏炉の胸に、冷たい衝撃が走る。
「俺たち“上澄み”と呼ばれる連中は、Ωなんざ練習台に過ぎない」
男は静かに背を向ける。
「……せいぜい、幻想を抱いてるうちに、腕を磨いとけよ。エンガ」
名前を呼ばれ、夏炉は眉をひそめる。
(……上には、まだこんな奴らがいるのかよ)
拳が、また熱くなる。
「Ωに勝った“その先”……そこに行くしかねぇだろ!!」
夏炉は立ち上がり、新たな闘志を燃やした。




