最終100話「僕らは幸せになるために生まれてきたんだ!」
戦いの余韻は、ゆっくりと世界に溶けていった。
草原には静寂が戻り、遠くで風が草を揺らす音だけが響いていた。
コロシアムの観客も、ゲームのルールも、もう関係ない。
ただ、戦った者たちが、それぞれの歩みを取り戻すだけの時間だった。
エンガはログアウトもせず、画面をぼんやりと見つめていた。
そこには、半年前に始めた「グラディエーターファイターズ」の思い出が残っている。
その横で、もう一つのゲーム――「ギャラクシールオンライン」のアップデート告知が光っていた。
「ん?ということは…あれが、たった半年の出来事だったのか…!」
エンガは机に突っ伏し、思わず独り言を漏らす。
胸の奥がまだ熱く、余韻に包まれたままだった。
現実世界では、ルミナが同じ空を見上げていた。
「さて、やろうかな、このゲームを」
小さな笑みが零れる。
戦いの疲れも、勝利の喜びも、すべてを包むような静かな優しさ。
ルナ、グラウィス、ヒョウザン、ピノン、ブレイズ、カイ、ミラ――
そして、かつてエンガと関わったすべての仲間たちが、それぞれの道を歩き出す。
戦いを通じて結んだ絆は、もうゲームの世界だけに閉じられたものではなかった。
エンガは立ち上がり、画面の向こうの世界を見つめる。
「この世界で…いや、俺たちの世界で、生きていくために、俺はやるんだ」
ルミナもまた、画面に手をかざすようにして、そっと微笑んだ。
「私たちも、きっと…幸せになれる」
風が優しく吹き抜ける。
光が窓から差し込み、長い影を描き出す。
“この世界で生まれた友情は、たとえ電源が切れても、心の中で続いていく。”
――こうして、彼らの物語は終わりを迎えた。
だが、友情も、絆も、そして幸せを追い求める心も、ここから先もずっと続いていく。




