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ニンゲンとロボット  作者: 藍内
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けが

 少年はあの『金属質の物』がもう一度見たかった。一体何なのか見極めたかったが、男がどこに行ったか分からない以上、諦めるしかなかった。


         *


「智也、起きろー!」

「んん……」

 せなかがいたい。さっきから悠木がたたいているせいだ。

「ちょっと、もう起きてるからやめて」

「まだ起きてなーい!」

 仕方なくベッドからはね起き、ついでに悠木を押しとばす。

 毎日毎日悠木に起こされる。起こしてくれるのはいいけどふとんの上からたたくのはやめてほしい。あと耳元で大声を出すのも。

「静かにしていないとまたおじさんが怒るよ」

 おじさんはふだんからこわい顔をしていて、怒るとおにみたいな顔つきになる。

「気にしない気にしない」

 悠木はそう言うが、だいぶ声が小さくなっていた。やっぱり悠木もおじさんがこわいんだ。

「いま何時?」

「時計見れば」

 教えてくれない。目ざまし時計を見る。

「6 時?」

「そうだよ」

 知ってたんだ。

「ねる。後一時間はねる。いじでもねる!」

「そんな~」

 昨日も一昨日も早く起こされたから、今日ぐらいはおそくまでねていたい。

 ふとんを頭からかぶる。何度もふとんをひっぱていたが、悠木はあきらめて部屋から出て行った。

 良かった良かった……。


「悠木も智也も朝から騒がないように」

 朝ごはんの時に悠木から朝起きなかった事の文句を言われて、それに反論しているとおじさんに怒られた。

 何で僕まで。

 おじさんの口調は静かで、顔も『おに』にまではなっていないから、あまり怒っていないんだろう。


 今日はいい天気。雲が少なく空があざやかな青色。太陽の光が強く、庭に出ると少しまぶしい。

 悠木がかけよってきた。

「何する?かくれんぼ?」

 悠木がこんな風に聞いてきたらかくれんぼは決定事項だ。何だか僕は悠木にふり回されている気がする。

「ジャーンケーン、ポン」

 負けた。

 僕は目をつむり、その間に悠木は隠れ場所を探しにいった。

「三十秒数えろよー!」

 しゃべりながら走っているから、どっちの方向に行ったかまるわかりだ。

 三十秒数えて目を開ける。

 大きな庭のかたすみに生えている木に向かう。悠木はよく、この場所にかくれる。声もこの方向に行っていた。

 木はとても大きく、四方に根をのばしている。

「あ!」

 その木の根につまずいて転んでしまった。手をついたがそこは根っこの上。バランスをくずし、地面に倒れた。

「大丈夫か?」

 悠木が木から下りてきた。

 ひざが痛い。地面でこすれた。仰向けに姿勢を変える。ひざの表面が変形していた。これは――『けが』だ。ひざの内部から液体がしみ出してきて、『けが』をおおう。これは『血』だ。

 この前父さんに教えてもらったから知っている。

 ひざの痛みにたえながら立ち上がった。

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