表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニンゲンとロボット  作者: 藍内
2/17

夢・臭い

         *


(――ここは?)

 暗く、でもとても開放感があり、そして静かな場所だ。ほとんど音らしい音がしない。車のエンジン音も、話し声やざわめきも。

 智也(ともや)という名の少年は歩いていた。

(これは夢なのかな……?)

 少年は意識がはっきりと覚醒していないように感じていた。

 少年は土手らしき所を歩いているようだった。しかし足の裏からは土の感触はしていない。一歩一歩足を踏み出しているが、感覚もなかった。体を動かしている自覚もなく、自分の体を制御できていなかった。

 少年は顔を上げた。星は見えず太陽も見えない、青色を少し足した、澄んだ黒い空。明け方近くなのだろうか。分からないことばかりで、少年の頭の中はこの空と反対に濁ってきた。

 少年は土手から降りた。そしてどこかに向かって歩きだした――。


 少年はベッドから身を起こした。

(……?……何だったかな?)

 もうほとんど覚えていない。

 ベッドから立ち上がる。足に軽い疲労が残っている気がした。


         *


 みんなは僕をともやと呼ぶ。そうだ、僕の名前はともやだ。


 僕は従兄弟とよく遊ぶ。従兄弟は悠木(ゆうき)という名前だ。この前は悠木のお父さんの工場の近くで遊んだ。悠木の家はお金持ちだ。

 僕はまだ学校に行っていないからいっぱい遊べる。


         *


 近所の小さな書店に少年は入った。手に取ったのはマンガ雑誌、最近買い始めたものだ。少年はポケットから小銭を出してレジへと向かう。

 レジには一名先客がおり、少年はその後ろに並んだ。先客は四十歳ぐらいの男性。購入しようとしている本は二冊だけだったが、店長と大声で話をしていてしばらく動きそうに無かった。

(まだかな?)

 少年が声をかけようか迷っていると、ある臭いがするのに気がついた。ガソリンスタンドで嗅いだことのある臭いだった。店長と先客のいる方向から臭っているみたいだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ