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腐ったミカンの下剋上  作者: 三口 三大
第4話 私とダンジョン
67/67

67(完). ダンジョンとは

 神楽の待機期間も終わったので、俺たちはダンジョン攻略へ行くことにした。


準備をして、ダンジョンの入口へ向かうと、神楽が男たちに話しかけられていた。若いイケメンの集団だった。街中で見かけたら、スルーしてしまいそうな状況だが、今ならアクションを起こせる。


「神楽、お待たせ」


「あ、宿須さん!」


 神楽が俺に寄って来る。男たちは俺を睨むも、俺が何者かわかったのか、バツが悪そうに去っていく。


(変な話だな)


 もしもここが若者の街なら、絶対に起こりえない現象だ。


「さっきの人たちは、知り合いなの?」


「いや、違います。なんか、パーティーのメンバーを探していたみたいです」


「なるほど。イケメンだったみたいだけど」


「そうですね」


「ちょっといいなぁ、とか思ったりするもんなの?」


「いや、全然。だって、私には宿須さんがいますから」


「そっか。そう言ってもらえると、嬉しいね」


 もちろん、神楽の言葉はありがたい。しかし、冷静にならなければいけないことも理解している。彼女が一緒にいたい俺は、つまるところ、ダンジョンの俺だ。リアルではなく、ファンタジーで生きる俺に彼女は憧れている。だから、リアルの俺は、彼女の言葉を真に受けて、舞い上がってはいけない。


「どうかしたんですか?」


「ん、何で?」


「難しい顔をしているので」


「そう? まぁ、ちょっと考え事」


「ふぅん。そうですか」


 作文コンクールがあってから、俺にとってのダンジョンについて考えるようになった。結論はすぐに出た。が、他に結論が無いか考え、結局最初の結論にたどり着く。


 俺にとってのダンジョンは、『価値を示す場所』だった。


 ダンジョンは多くの人にとって忌み嫌われる場所である。しかし、そのダンジョンがあるからこそ、俺は俺の価値を示すことができた。ダンジョンが無かったら、俺はきっと、社会の汚泥をすすったまま生きるしかなかっただろう。でも、ダンジョンがあるからこそ、神楽に認められ、世の中の多くの人に認められることができた。


 最初、俺にとってのダンジョンは、上司や世の人に対して積年の恨みをぶつける場所だった。しかし、いつしかファンタジーを楽しむ場所になって、今は自分の価値を示す場所になっている。もしかしたら、攻略を続けるうちに、またべつの場所になっているかもしれない。でも、その変化を恐れてはいない。その変化を楽しめるのが、ダンジョンの良いところ……なはず。


「よし!」と気合を入れる。「それじゃあ、今日も行きますか!」


「はい!」


 俺は神楽とともに、ダンジョンへ――ファンタジーの世界へ飛び込んだ!

突然ですが、このまま続けてもエタりそうなので、こちらで完結とさせていただきます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


また別の作品もお読みいただけると幸いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新されずにエタるより、たとえ半端でも完結してもらえるのは助かります。作品作りありがとうございました。
[気になる点] 宿須竜二のダンジョンに入る前までに関わった人達 親 先生 同級生 や会社の人達がランキング10位になった今どう思っているのか。後前ランキング10位だった偉そうな人のその後。 宿須竜二…
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