表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
腐ったミカンの下剋上  作者: 三口 三大
第3話 可愛い女の子とダンジョン攻略というファンタジー
46/67

46. 新鮮な反応

 草を分けて進むと、目の前に草原が広がった。空は青く、遠くに山が見えた。神楽さんが遅れてやってきて、息をのむ。


「ここが、ダンジョンですか?」


「そうです。草原タイプのダンジョンです。このタイプのダンジョンは初めてですか?」


「はい。実習では洞窟タイプのダンジョンでした」


「なるほど。まぁ、洞窟型は多いですからね」


 俺は『竜神の杖』と『跳竜の靴』を願う。すると、ドラゴンの手を模した硬質な黒い杖が現れ、安いスニーカーが金色のバスケシューズに変わった。


「もしかして、それって、『アイテムカード』ってやつですか?」


「はい」


「すごい! 本当にあるんですね!」


「ええ、まぁ」


「スキルカードとかもお持ちなんですか?」


「ありますよ」


 5枚のカードを提示する。ダンジョンが増加してから4つのダンジョンを攻略した。内訳は、次のようになっている。


====================


・腕力プラス


・索敵プラス×2


・隠密プラス


・魔力プラス


====================


 神楽さんは、ショーケースに展示された宝石でも見るかのように、俺のスキルカードを眺めた。その反応が新鮮で、ちょっぴり誇らしく思う。


「そういえば、これをギルドの人に見せなくていいんですか? 報酬が高くなるって聞いたんですけど」


「そうですね。ただ、俺クラスになると、見せようが見せまいがあんまり報酬が変わんないし、わざわざこんな場所に来てもらうのも忍びないので、見せなくなりました」


 今は、スキルカードを見せずとも、トップランカーというだけで、生活できるくらいの報酬が貰えている。


「へぇ。もしも冒険者になったら、宿須さんみたいなこと言ってみたいです!」


「頑張ってください」


 ただ、神楽さんを見ていて思う。もしも彼らが、神楽さんと同じくらいの反応を示してくれたなら、毎回見せているかもしれない。


「スキルカードを手に入れると、やっぱり、何か変わったりするんですか?」


「正直、あんまり実感はないのですが、重いものが持てるようになったと思います。それに、モンスターの気配を探すのもうまくなった気がします」


 そのとき、モンスターの気配を感じた。早速、見せ場が来たみたいだ。見上げると、2つの影が迫ってくる。ヒトクイオオワシだ。強靭な嘴と爪で襲い掛かってくる鳥型のモンスターだ。


「来ますよ! 準備してください!」


「え、あ、はい!」


 神楽さんが剣を抜いて構える。彼女の実力を見たいので、ヒトクイオオワシと戦ってほしいところではあるが、いきなり2体は厳しいと思うので、1体は俺が始末することにした。


 杖先をヒトクイオオワシに向け、魔力を込める。杖先で炎が渦巻き、球形に炎を集める。ヒトクイオオワシに狙いを定め、火球を放った。しかし、ヒトクイオオワシは俺の火球をかわした。


「やるじゃん」


 ヒトクイオオワシは爪を向け、襲い掛かってきた。俺は杖を振って炎の壁を作る。壁の隙間から、ヒトクイオオワシが宙でバタつくのが見えた。だから、『跳躍の魔法』を発動し、大地を強く蹴る。一瞬でヒトクイオオワシとの距離を詰め、その頭部に杖を叩きつける。当たる寸前に、『炎魔法』を発動。打撃+爆発の勢いでヒトクイオオワシを勢いよく叩き落とした。


 頭から地面に突き刺さるヒトクイオオワシ。その時点で虫の息に思えたが、着地の勢いも利用し、もう一度打撃+爆発のダメージを与える。ヒトクイオオワシの胴体が大きく跳ね、黒い霧となって消えた。


(まずは一体)


 もう一体は、神楽さんに任せようとしたが、もう一体のヒトクイオオワシは旋回して逃げようとしていた。


(逃げんなよ)


 だから火球を放ったら、火球が直撃し、ヒトクイオオワシは炎に包まれ、黒い霧となって消えた。ポーションと思しき小瓶が落ちてくる。


「あ、やべ」


 ついつい本気を出してしまった。


 神楽さんを見ると、唖然としていた。


 やりすぎて引かれたかもしれない。何かフォローしないと。


「まぁ、モンスターはこんな感じで倒してもらえればいいと思います」


「いや、無理ですよ」と神楽さんは即答する。


 そりゃあそうだよな。


「でも――」と彼女の目が輝いた。「すごい格好良かったです!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ