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腐ったミカンの下剋上  作者: 三口 三大
第2話 腐ったミカン
23/67

23. 決断

 ダンジョン攻略の許可が出たので、早速次のダンジョンを探す。しかし、現在参加可能なダンジョンを見て、絶望する。2つしかなかった。


(少なすぎだろ……)


 現在、ダンジョンは月に2回程度しか出現しない。だから、難易度の低いダンジョンが出現すると、すぐに攻略されてしまい、ダンジョン不足になる。実際、俺が許可を待っている間に、ダンジョンが一つ出現し、攻略されてしまったようだ。


(もっと増えればいいのに)


 おそらく一般人が聞いたら、不謹慎だと思うに違いない。彼らにとって、ダンジョンは災厄の元凶だ。しかし俺からすると、ダンジョンはある種のアトラクションだった。


(まぁ、ないなら、しゃーない。どっちにしようかな)


 残っているのは、『軽井沢ダンジョン』と沖縄にある『美ら海ダンジョン』だった。軽井沢ダンジョンは相変わらず難易度がSだし、美ら海ダンジョンは難易度がBだった。


 近場という観点なら、軽井沢ダンジョンだが、杭打の存在を考えると、躊躇してしまう。また、難易度がかなり高く、制度上は参加できることになっているが、現場では経験不足を理由に、嫌がられてしまうかもしれない。


 一方美ら海ダンジョンの懸念点は金だ。宿泊代に関しては、ギルドが運営する野営地を利用すれば何とかなるが、交通費は負担してもらえない。だから、貧乏な俺にとっては、安くはない出費になる。


(まぁ、でも、軽井沢に行くのにも金がかかるし、少しだけ高くなったと思えば、いいか。あ、でも、今は正月だぞ)


 俺には関係ないが、世間は今、正月と呼ばれるシーズンだから、飛行機のチケットが取りにくいし、取れても馬鹿高いことが容易に想像できた。


(見るだけ見てみるか)


 航空会社のサイトを確認し、自分の予想が当たっていることを知る。やはり、高いチケットしかなかった。もしも俺が上位ランカーだったら、ギルドの力で何とかできたかもしれないが、駆け出しの冒険者にそこまではしてくれないだろう。


(……明日の俺に任せよう)


 その日は決断することなく、眠った。


 そして翌日、ギルドのサイトを開いて、落胆する。


 美ら海ダンジョンが攻略されていた。


 つまり、残っているのは、軽井沢ダンジョンだけだった。


(軽井沢か……)


 別に場所が嫌いなわけではない。ただ、近場だと、あの杭打が現れる可能性があるから、それだけが嫌だった。


 しかし、冒険者としてダンジョンに挑みたい気持ちもある。


(どうしようかな)


 何気なくSNSを見ていて、気になる情報を見つけた。今、軽井沢ダンジョンにランク3が参加しているとのことだった。


 ランク3。つまり、杭打よりも上の存在がいることになる。そんな状況では、さすがにあの男も大きな顔はしないだろう。


 その可能性に賭け、俺は軽井沢ダンジョンへ向かうことにした。

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