表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
腐ったミカンの下剋上  作者: 三口 三大
第1話 初めてのダンジョン攻略
11/67

11. 完走した感想

 俺はダンジョンで死ぬつもりだった。


 だから今回の結果は、自分でも意外だった。


「すげぇじゃん、あんた!」


 ソフトモヒカンが俺の肩を軽く叩き、気さくに笑った。


 褒められるなんてことはあまりないから、俺は「はぁ、どうも」と戸惑ってしまう。


「いやぁ、まさかあいつにあんな一撃を与えるとはねぇ。俺は同じオスとして、ゾッとしたけど」


「なるほど」


 俺はとくに何も思わなかった。ただ、やつを倒すために最善の手を尽くしただけだ。


「ナイスだったな」と金髪にも言われる。「あんたがいなきゃ、やばかったかもしれん」


「どうも。まぁ、でも、俺も『火薬』が無かったら、あいつを倒せなかったと思うし、皆さんのおかげです」


「まぁ、確かに。俺らがいたからこそ、倒せたのかもな」


「今回に関しては、お前はあんまり仕事をしていないけどな」と剃り込みに言われ、金髪は「そんなことないわ!」と反論する。


 いつの間にか、リーゼントと小太りの男もいて、彼らは笑っていた。そんな彼らを見て、俺も自然と笑みがこぼれる。


 不思議な気分だった。自分みたいな人間が、彼らのようなヤンチャな集団の輪にいることが。今までなら、ありえない出来事だ。


「あ、そういえば」と俺はリーゼントのことが気になった。「右肩は大丈夫なんですか?」


「ん? あぁ」とリーゼントは右肩を抑える。「ポーションのおかげで、ある程度傷をふさぐことはできた。が、完治はしてないから、しばらく安静にする必要がありそうだ」


「そうですか。なら、良かった」


「心配してくれて、ありがとな」


「あ、いえ」


 リーゼントに感謝され、こそばゆく思う。


 俺は岩壁を眺めながら改めて考える。俺は死ぬつもりでダンジョンに入った。しかし、俺が死ぬことはなく、新たな一面を見つけることができたし、人に感謝され、褒められた。ダンジョンには今までにない経験があった。


 そのとき、「おい、お前ら」と声がした。目を向けると、グレーの髪を撫でつけ、顎髭を生やした凛々しい顔つきの男が立っていた。ダンディなおじさまといった感じ。一瞬、誰かわからなかったが、着ている鎧から何者かわかった。杭打である。後ろには、高橋などの仲間の姿があった。


「お前らが、今回のヌシを倒したのか?」


「そうだけど」と金髪が答える。


「そうか……だが、これだけは言っておく必要がある」


 杭打は、くわっと目を見開いて、言った。


「勝手なことをするんじゃない!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ