王女殿下は昔話の真実(ほんとう)を知ります
王宮に侵入者があった時刻から遡ること数刻前、レイリアが夢の中の声を聴いて目を覚ました直後―――
コンコンコン
「……殿下、お休みのところ失礼いたします」
「……ダナン?」
「主様が、内苑にお越しいただきたいと申されております」
「シシー様が…?」
シシティバルムのことを主様と呼ぶのは、本物の、つまり竜鱗体の方のダナンである。
ほんの少し落胆を覚えてしまった自分を叱り、レイリアは「すぐに用意します」と応える。
支度を手伝ってくれたテスに先導され、護衛のダナンも伴って内苑に向かった。
(こんな時間に内苑に入るのは、初めてかもしれないわね)
レイリアは明るい時間帯は内苑に入り浸っているが、夕食後から朝までは王宮内の自室で過ごしている。こんな夜更けには内苑どころか、自室の外に出ることすら珍しい。
テスの持つ手燭に照らされた状態では、見慣れた樫の扉もいつもと違って見えた。
だが、扉を開いた途端、扉そのものの印象など吹き飛んでしまう光景が広がっていた。
星明りしかないはずの内苑は、ふわふわと漂うように舞う無数の光で満たされていた。
ぼうっと光りながら舞い踊るその一つが、ふわりとレイリアの眼前にまでやってきた。
『こんばんわ!』
「こ、こんばんわ…」
反射的に挨拶を返した。光を放つそ不思議な存在が、笑ったように感じられた。
これは、もしかしなくても。
「妖精…?」
「レイリア様」
小径の向こう側から名を呼びながらやってくる姿を見て何故か胸が苦しくなって、気が付けばレイリアはその人に向けて片手を伸ばしていた。
当然のようにあちらからも伸ばされた手に掴まれば、ここ数日ですっかり馴染んだその人の体温に自分でも驚くほど安堵を覚えた。ほっとして見上げれば、心配そうに見つめてくれる灰青とぶつかる。
「先ほど、少し強く竜の気配を感じました。いつもの魄動とは違う感じでしたが」
「……声が、聞こえました……卵の声が…」
「声…?」
「何にかはわからなかったですが、とても、怖がっていました。
そして、待っている、と……」
「…………わかりました。そのことについても、ナザレ達に話さなければいけませんね」
「…はい」
寒くもないのにレイリアの身体に少しだけ震えが走った。
怖いと訴えながらも待っているのだと言う悲痛な声が、まだ耳に残っている。
掴まった手が緩い力でレイリアを引き寄せた。触れるか触れないかの距離に近づいて、体温同様に馴染んできてしまったカルセドニクスの薫りが届く。
「大丈夫です、お傍に居ります」
降ってきた優しい声に、こくりと頷いて目を閉じた。
今は、という言葉を自分の中で補足しながら、そのことにレイリア自身が苛まれる。
繋いだ手を引き内苑の奥へと導いてくれるこの人は、じきにここから居なくなるのだ。
妖精たちの光に照らされた内苑の奥の奥、地下のネリーの封印に続く入り口のところまで辿り着くと、数人の人影が待っていた。
1人は銀髪の少年。白銀の鱗を持つ竜の中の竜、竜王ナザレ。
1人は凍った水面の如く白に近い青の髪の美女。原初の氷竜シシティバルム。
1人は金髪蒼眼の青年。魔法王国の王太子ルシアン・アディル・フェアノスティ。
そしてもう1人はレイリアの身近な人物だった。
「お父様…?」
「すまないね、レイ。こんな時間に」
白髪の目立つようになってきた橙の髪を少しだけ乱れさせたレイリアの父、アルドノーヴァ・カロッサ国王だった。
この内苑は竜の領域。主であるシシティバルムの許しがなければ王族といえども入ることはできない。レイリアの記憶の中で、父が、というか自分以外の王族が内苑に足を踏み入れるのを見たのは、幼き頃に大任を引き継いだ祖母以来のことだった。
父王に向けて一歩進み出すレイリアを、立ち止まったカルセドニクスが送り出した。手が離れる瞬間、少しだけ振り返ったレイリアと目が合ったが、カルセドニクスは何も言わずに一礼しただけだった。それに一瞬だけ眉を寄せたが、レイリアはすぐに表情を消し前を向いて歩みを進めた。
レイリアがアルドノーヴァに並び立ち、カルセドニクスがナザレの隣の位置に着くと、その場にいる者を見回して竜王が口を開いた。
「夜更けに集まってもらってすまない。
竜使を代表し、今、この国で起きていることについて説明してもらおう。カルス?」
「はい。
南大陸から入国後島内各所に潜伏していた集団に動きがありました。
事前に情報を流しておいた明日のフェアノスティ王太子一行の首都郊外視察に合わせて、徐々に一箇所に集結しつつあります。それを受け、我々竜使が該当集団の捕獲と武装解除を行います。
ですがここにきて、集団から一部が離れて別動隊が組織されていることが確認されました。おそらく外のまとまった数の集団は陽動。外よりも少数ではあるが精鋭で固めたそちらの別動隊が本隊でしょう。二つが同時に蜂起し、郊外に戦力を分散して引きつけている間に、主力が首都クルデ市街地を通り抜けてカロッサ王宮に侵入するという計画が立てられています。首謀者は―――スファルトード公国第三公子マルス・スファルトード」
「…ぇ…?」
「スファルトード公子は出国したと報告を受けているが?」
「いえ、国王陛下。私が直接調査した結果、南大陸に向かう船に乗ったのは影武者でした。
公子本人はドネリに入った後、入れ替わり、ホスローに向かい潜伏集団の一つと合流しています」
「なんと……」
「スファルトード公国は貴国とは姻戚関係にあり交易でも関わりが深いとうかがっています。ただ、さらに代を遡って調べると、過去、ネリーに沈められた2島のうちの一つ、オルソ島首長の家系の者が逃げ延びたのち公国の独立期の公王に嫁いでいます。スファルトードに入り込んだオルソ島出身の一部の民の間で、北の魔法使い達が伝えた邪法が密かに継承され、また、竜についての知識も歪んで伝わったようです」
先日会ったばかりの穏やかそうな青年の笑みを思い出し、レイリアがその顔を曇らせた。彼に恋情を抱いていたわけではないと思う。ただ、それでもあの穏やかそうな明るい笑顔とこれから共に生きていくことになるのだと考えたこともあったのだ。あの笑顔の下にそんな思惑を秘めていたのかと、衝撃を受けていないと言えば嘘になる。
レイリアが彷徨わせていた視線を上げれば、自分を見つめていた暗銀色の髪の青年と目が合った。その美しい顔には笑みはない。憐れみもない。ただいつもどおり判りにくくも気遣いが浮かんでいるようには感じられた。
レイリアは微かに笑んで頷いた。それを見たカルセドニクスも小さく頷く。そして視線を竜王ナザレへと移した。
「ナザレ。当時を、というか、シシティバルム様がカロッサに降り立った理由からすべてを知る貴方から、一度きちんと話してもらえませんか?」
銀髪の竜王は、カルセドニクスの言葉に眉間の皺を深くしながらも、意を決して口を開いた。
「我々がやってきたとき、黎明の世界は魔力と魔素の嵐吹き荒れる混迷の最中にあった。この世界の魔力に正しく流れを創り出す、その柱とするべく、竜のもつ力を撃ち込んで楔とした。それが俺が竜王なんて呼ばれる理由だ。大地の魔力を帯びた俺の力は地を伝い拡がって行き、それに乗って妖精たちは世界を巡り始めた。世界を巡りきった大地の魔力の余剰分が最終的に行き着いたのが、カロッサ諸島だった。澱んで噴き出そうとする魔力を俺が吸い上げ、地竜ネリーが大地そのものの鳴動たる火山活動を抑え、氷竜シシティパルムが熱を放つ大地を鎮めた。俺とネリーはその後この地を離れたが、シシーはそのままこの海域を見守ることになった。竜の力と共にあること、そして大地の魔力の流れの終着点でもあること。それにより妖精たちはこの地に多く集まり、結果このカロッサ海域には多くの恩恵がもたらされた。
トスカラとオルソ、2つの島だって、カロッサ本島ほどではなくともこの海域で起きた良い影響の恩恵はあったはずなんだ。だが、北から渡ってきた魔法使い崩れが、いらん入れ知恵をした。カロッサにある竜の力と同様の恵みを得るため、北大陸の営巣地から竜の卵を奪えと。幻妖とその使い方を教えて、ご丁寧なことにトスカラまでの転移魔法の魔道具まで用意してな。
竜の群れなす大きな営巣地では危険だと、独りきりでいたネリーが狙われ、幻妖で一時的に眠ったようになった状態で卵を奪われた。遅かれ早かれ竜が追ってくるのはわかっていたはずだ。北の魔法使い崩れ共は、卵をトスカラの民の手で運ばせ、竜の怒りがそちらに向けられているうちに卵のみを奪取するつもりだったのだろう。だが、幻惑から覚め卵が奪われたことを知ったネリーの怒りは、奴らの予想を遥かに超えて早く、そして大きかった。
その後、このカロッサに起きたことは、歴史に残るとおりだ。二つの島は沈められ、ネリーは嘆きに自我を失いこの地に封印された」
そのまま竜王は沈黙した。黙ってナザレの語ることを聞いていたシシティバルムも、当時のことを思い出したのかその美しい顔にありありと苦悩の表情を浮かべた。
沈黙した竜達に代わり、再びカルセドニクスが言葉を繋ぐ。
「おそらく、今回カロッサに侵入した者どもの狙いは、第三王女殿下の御身を奪いスファルトードに連れ去ることかと。
レイリア様とスファルトード第三公子の縁組まで待つつもりが最初からあったのかどうかはわかりませんが、半年ほど前から我々竜宮が調査に動いていたことをスファルトード側でも察知したのでしょう。ルシアン殿下の貴国訪問に合わせて強硬手段に出てきましたね」
「でも、私はただ揺籠を務めているだけで…私を攫っても、竜の力なんて使えません!」
「ですが彼らはそうは考えていないようです」
「そんな…」
恐怖に震えるレイリアの姿に、カルセドニクスが表情は変えぬままに強く拳を握った。
「明日の作戦では、私は王宮内に残り侵入を試みてくる集団に対処します」
「王宮に侵入しようとする者がいるなら、視察を止めて外の竜使を呼び寄せ王宮内を固めるべきでは?」
そう言ったのは、ルシアンだ。
しかしカルセドニクスは首を横に振る。
「王宮に来る計画の一団は少数だ。数が多い外の連中は合流させず別途押さえておく必要がある。全ての集団がまとまって首都に雪崩れ込まれて市街戦に持ち込まれるようなことになるのは避けねばならん。」
「しかし…」
「外の集団の動きは陽動。それに乗るとみせて、そちらはそちらで確保、必要があれば殲滅する。
首都には罠を張る。市街地にすら一歩も踏み込ません」
カロッサ入り前夜と同じ、研ぎ澄まされた刃を思わせるカルセドニクスの横顔に、ルシアンも腹を括った。
「…わかった。ならば私は予定通りに外で囮役を引き受けるよ」
そう言うと、カロッサ国王に辞去の挨拶をし、ルシアンは内苑を出て行った。
王位継承第一位のルシアンを囮に使うなど、臣下としても友としても、あり得ない手段を取る自覚はある。だがなんとしても、首都に侵入してくる敵の数を分散させて減らしたい。そのためには郊外の敵を引き付けてもらわなければならない。フェアノスティの大切な王太子に傷ひとつ付けることなく郊外の敵の対処を終える、そのために自分以外の竜使は全て外に配置することにしたのだ。
この場にまだ残っているカロッサ国王アルドノーヴァにも、カルセドニクスは頭を下げた。
「できることなら、首都に向かう前に相手勢力を押さえ込み、外の竜使だけで全て収めたかったのですが、力及ばず申し訳ございません」
「元を正せば、五百年前に我らカロッサ諸島の同胞が起こしたことが発端。此度の竜宮の助力に感謝する。
………竜使殿。
カロッサは竜に祝福された地、我々はそこに代々生きてきた民だ。我らの同胞の犯した罪により負った母竜ネリーの苦しみを思えば、ネリーの卵を護り続けるのは我らにとっては大事な使命であり、揺籠に選ばれるのは誇りでもあった。
だが、我が母が自らの死期を悟ったと同時に、卵が私の末娘を選んだ時、私は……」
「陛下…」
「竜使殿、いや…フェアノスティ王国ザクト家子息、カルセドニクス殿。
父として、頼む。この子を、レイリアをどうか、護ってやってほしい」
頭を下げようとするカロッサ国王をカルセドニクスが留め、逆に深く礼をする。
「あらためてそのように仰せになる必要はございません。
私はとうに、何があってもレイリア様の御身をお護りすると誓っておりますので。」
「そうか……ありがとう」
テスとダナンに付き添われ王が内苑から退出していくと、その場にはいつもの面々が残った。
そこでカルセドニクスがナザレの前に一歩進み出た。
「ナザレにもう一つ、聞きたいことがあります」
「ん?なんだよ」
「カロッサの昔話が正しければ、ネリーの卵は孵ることがないはず。でも代々の揺籠に護られ卵は目覚めの時を待っている。
これについての説明を求めます」
「あぁ~……」
レイリアとしても、そこは知りたいところであった。
「そもそも、この世界に俺たちがやってきたきっかけは、全部その卵の意志がもとになってるんだ」
「どういうことです?」
「昔話じゃネリーは独りで誰にも知られず卵を産んだことになってるけど、実際は違う。
いや、独りで産んだのは確かだけど、相手はカミサマだぞ?すぐにバレたさ」
「「え」」
「あの方は、ネリーの想いを全部受け入れたうえで、卵に命を吹き込んでくれた。」
「では、やはりネリーの卵に宿るのは、神様の御子、ということですか?」
「そんな大層なものじゃないかもしれないが、一応、そうなるかな」
「まぁ……」
「昔話との違いの謎は解けましたね。
なぜその部分は正確に伝わってないんでしょう」
「悲劇の、とか、叶わない恋って方が話として受けるから、そちらの話が残ったんじゃないか?」
「どことなく話し辛いそうにしてたのはなぜだったんです?」
二人の視線から逃げるようにちょっとだけ目をそらして銀髪の頭をガシガシと掻きながら、ナザレが重い口を開く。
「だってさ、妹の恋だの想い人だの、話しづらいだろ。小っ恥ずかしい…」
「あらまぁ……」
「ナザレにもそんな可愛らしい感情があるとは」
「…うるせぇよ。
とにかく!命を宿した卵が、今とは別の世界に行きたいとネリーに訴えだした。自分が共に生きる存在が生まれる、その世界に行きたいと。
そして卵が選んだのが、この世界だったってわけだ」
「卵が、訴えた……?」
ナザレの話を聞いて、レイリアがはっとする。
「ナザレ様、さきほど私にも、卵の声が聞こえました。
誰かに会えるのを待っているという………」
「!」
少しだけ驚いたようにナザレが目を瞠る。そしてすぐくしゃっと目を細めて笑った。
「そうか…卵の声を聞いたか。
揺籠が卵の声を聞くのは、今までは代替わりの時だけだった。
お前たちはきっと、特別なんだよ」
「竜王様は、卵は生まれるとお考えになりますか?」
「―――時が来たらな。
ほんとにずいぶん待たされたもんだが、ようやくだ。
そうしたら揺籠の中の魂魄は卵本体の方に戻り、目を覚ますだろう。
それまで、妹の子を頼むな」
微笑んで封印の場所へと降りていく竜王の背中を見送りながら、カルセドニクスとレイリアは顔を見合わせた。
「お前…」
「…たち??」
いつになくたくさんしゃべってくれた竜王様だったが、最後の最後でやっぱり説明が足りないと、二人は思うのだった。
カルセドニクスが護衛してレイリアを自室まで送っていく道すがら、王女の脚が止まった。
「カルス様、私、決めました。」
レイリアがくるりと振り返った。
その青い瞳に悪戯を思いついたような輝きを湛えて。
「決めた、とは?」
「先日、揺籠の役目が終わったら行きたい場所はあるかと、おっしゃったでしょう?
私、竜宮に行ってみたいです」
笑ってキッパリとい言いきるレイリアに、少し不思議そうな顔のカルセドニクスがきょとんとなって問い返す。
「竜宮に、ですか?」
「はい。」
「竜宮のあるコルベリオ領には、石灰岩が林立する草地しかありませんけど」
実にカルセドニクスらしい返答だと思いながら、レイリアは笑った。
「私、ずっとこのまま、カロッサを出ることなく生きるのだと思っていました。
それを当然と思っていましたし、特に不便と思ったことも、自分が不幸だなんて思ったこともありません。
でも、ナザレ様の仰るように時が来て竜の卵の魂魄が私から離れたら、そんな未来が本当になるのなら、見たことのない、想像したこともない土地に行ってみたいです。
ですから、手始めに竜宮、です!」
レイリアが小さく握りこぶしを作って力説するので、カルセドニクスは思わず夜更けの時間にもかかわらず笑い声を上げそうになって咄嗟に口許を押さえて笑いを堪えた。
「連れて行ってくださいますか?」
小首を傾げて尋ねる少女に、彼女にだけ見せる笑顔になった青年が答える。
「貴女のご希望とあれば何処へでも。ついでに調査の手伝いをお願いできるなら嬉しいです」
頷きながらも、そんな日は来ない、とレイリアは心の中では理解していた。
たとえ、自分の身が揺籠の役目から解放されようと、この方と一緒に竜宮を見に行くなどという未来は、訪れない――――――
かくん、と頬杖がはずれて自分の頭が落ち、ふるりと頭をひとつ振った、
四阿の外に降り注ぐ陽の明るさから、だいぶ中天に登った時間帯だと知る。少しだけ眠ってしまったようだ。
先ほどまで見ていた夢と現の合間のような光景を反芻するも、やがてうたた寝の帳が巻き上げられてしまえば、昨夜知らされた現実が一気に押し寄せてきた。
定例茶会で交流してきた青年が自分の身柄を押さえるため王宮に侵入をしようとしていること。
相手の戦力を分散させるためルシアン達が郊外で武装集団と対峙すること。
そして、何があっても自分を護ると言ってくれた人が、今ここにいないこと。
(今頃、外はどうなっているのかしら)
すっかり冷めてしまったお茶を入れ替えるため、テスが四阿から出て行こうとした、その時だった。
レイリアの見ている前で、ガクッとテスの膝が折れ床に手をつき倒れ込んだ。持っていた茶器が落ちた拍子に砕けて、甲高い音が鳴った。
「テス!?」
「これは、いかん…主様に知らせね…ば…」
「テス!」
レイリアは急いで椅子から立ち上がり、蹲ったテスに駆け寄った。
木立の向こうで、主の許可なく開くはずのない竜の領域の樫の扉が、ゆっくりと開く音がした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。




