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第95話 成都攻撃隊、戦果確認。敵戦力は壊滅セリ!


 成都で適当に暴れて、リフレッシュした俺たちは、ホテルで宴会を開いていったん拠点に帰った。


 密入国のトルシェたちはそのまま恵比寿の拠点に帰ったが、俺とメッシーナとバイザー、それにフラックスはホテルで一泊した。出入国の記録をちゃんとしてないと後でややこしいことになるかもと思ったので、ちゃんと空港から出国し、空港を通って帰国するためだ。


 翌朝。成都空港からバイザーはイタリアへ、俺たちは羽田まで。


 チケットは空港のカウンターで一番早い便に切り替えてもらった。


 今回の作戦で、記録係の二人と運転手を失ってしまったが、あのビルの突然の倒壊は既に全世界に発信されているはずなので、バイザーも上司に報告するだろうし仕事は完了したとIEAも認めるだろう。




 トルシェたちに遅れて拠点に帰ってきた俺たちだが、メッシーナは疲れが出たようで自室に引き上げ、フラックスもメッシーナについていった。


 俺は、トルシェが吹き飛ばしたと思われる火山と溶岩の世界についてサティアスに尋ねることにした。


「……、面倒だったんで、トルシェがそういった感じでその火山付きの溶岩世界を吹っ飛ばしてやった。そしたら、直径5センチほどで3分の1ほど欠けたガラス玉みたいのが落っこちてたんだ。

 そいつを拾ってよく見たら、中で赤黒い何かがうごめいていてな。見ているうちにその赤黒いものが消えていった。そいつが見えなくなったら玉自身も崩れて粉になって消えてしまった。その時俺は何かを吸収したみたいだが、そこは確信はない」


 俺の話を聞いていたサティアスが、


「女神さま。おそらく、女神さまたちが壊したのは、わたしたちの本来の世界と思います。女神さまが吹き飛ばした火山は、わたしたちの崇める山、〇△#%&山です」


「ふーん。それで、ガラス玉は何だったんだ?」


「わたしたちの世界が外部から侵され、滅ぼされようと、いつでも元の世界を取り戻せるようわたしたちの世界とウリ二つの予備世界を誰にも見つからぬよう極限まで小さくして作っていたのです」


「ほー。バックアップってやつだな。感心なことじゃないか。それがあれば災害があってもいつでも復旧できるわけだ。まさに、持続可能な社会を実現してたわけだな。

 そんなバックアップがあったんなら、あの世界が吹っ飛んだってもとに戻ったんじゃないか?」


「世界の再構築のいわばエネルギー元だった〇△#%&山そのものが無くなることは想定していなかったので、再構築に失敗してしまったのではないでしょうか」


「そんなんじゃダメダメじゃないか」


「申し訳ありません」


「お前が謝っても仕方ないだろ。

 それで、そのバックアップの玉の中にいたのは何だ?」


「われわれの予備世界を管理していた、いわばわれわれの神、至高の悪魔、悪魔王◇〇%です」


「俺たちは、なんとか山は吹っ飛ばしたが、悪魔王を吹っ飛ばしたわけじゃないぞ」


「わたしは知りませんでしたが、〇△#%&山は悪魔王◇〇%の本体だったのかも知れません」


「なるほどな。知らず識らずとはいえ、俺たちは悪魔王を倒してしまっていたのか。俺たちは怪物ではないが、愉快、痛快、奇々怪々だな」


「われわれの予備世界まで壊れてしまい、悪魔王もほろぼされた以上わたしたちの世界は完全に滅びました」


「結局お前たちの持続可能な社会は無意味だったってことか」


「女神さまのおっしゃる通りかと思います」


「ふーん。トルシェのグッドジョブってやつだな」


「そ、そうですね」


「サティアス、お前、帰るところもなくなったし、お前以外で他所よその世界に出稼ぎに出ていた連中も、帰るところがなくなったんだろ? これから先大変だな。

 まっ、くじけず頑張りな。じゃあな」


 最後にサティアスを力づけるよう励ましておいた。まさに『慈悲』の権能のなせるわざである。


 鳥かごの中のサティアスに別れを告げて、俺は悪魔コンニャクを研究中のトルシェのところにいった。アズランは朝から次の取替ターゲットの情報収集のためでかけているそうだ。


「トルシェ、研究の方はどうだ?」


「いい具合にコンニャクからエグみも取れたので、小豆を添加して羊羹仕立てにしているところです」


 確かにどこで揃えたのか知らないが大型のコンロの上の大鍋でなんだか煮ているようだ。鍋の中を覗いてみたら小豆だった。


「楽しみだなー。ところで、効能の方はどうなんだ?」


「人体実験しないと確認できないけど、対象が30歳以上なら5年、60歳以上なら10年若返る感じで作ってます」


「なるほど。そのまましっかりやってくれ」


「はーい」


 トルシェの研究はおそらくうまくいくだろうから、コンニャクのストックが前回のドーム型悪魔分しかないのが残念だ。ストックを全部使ってしまったら、その時は、伸縮自在のサティアスを膨らませて適当にコンニャクをそぎ取ってしまえばいいかもな。最近はクローン技術も発達してるから悪魔を培養してもいいかもしれない。おれの国計画の夢は膨らむなー。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 成都攻略戦からはや3カ月。メディア関連と大手広告代理店の上層部の取替はほぼ完了した。


 目立った動きはやはりテレビでのものだ。涼音によると、昼間放送されていたニュースショウはとうとうなくなり、時代劇の再放送が流されるようになったそうだ。夕方6時から8時まではアニメタイム、そのあとのゴールデンタイムには時代劇のビッグネームが復活している。水戸○門、銭○平次、大岡○前、遠山○金さん、などなど。素晴らしい! の一語だ!


 深夜アニメも豊富なようだ。


 アニメ制作会社に支払われる制作費もかなり上昇していると聞く。いいサイクルが出来上がってきたようだ。



 悪魔スキンも完成した。悪魔スキンはこれまでのビットマップスキンと違いレントゲンなどでは内臓や骨格が写り込むよう工夫されている。


 俺は俺用に作られた悪魔スキンを全身で被ることで、いつでもテレビその他のメディアに登場できる。主要な選挙の前に俺が国民を祝福することで、支持政党なしの連中がこぞって俺の望む候補ないし政党に投票するはずだ。組織の指示で入れたくもない候補に投票していた連中も、同様に俺の望む候補ないし政党に投票する。組織票に頼っていた政党候補は軒並み落選するわけだ。完全な地殻変動が起こるだろう。


 つぎの取替ターゲットは主要省庁の局長クラスだ。事務次官クラスは任期が短いので今のところ手はつけない。


 そういえば、入れ替え済みのスケルトン改造人造人間に対して妙な連中が接触を図ろうとしているらしい。接触を図ってきている連中が一線を越えてどこかのスパイであることがわかり次第、スケルトン本来の力で引導を渡して、体内に飼っているスライムで跡形も残さず捕食しているそうだ。思わぬところでスケルトン改造人造人間の真価が発揮されたってわけだ。これもシナジーではあるな。



 悪魔コンニャク入り夜の梅も完成した。トルシェの計算だと、コンニャクのストックからいって約1千万本の夜の梅が作れるそうだ。


 しかも、羊羹一棹(ひとさお)の8分の1食べるだけで、所定の効果が得られるらしい。一人で間違って羊羹全部食べてしまうとかなり若返ってしまいそうだが、そこはまだ確かめてはいないようだ。いずれにせよ、これだけあるなら当分コンニャクの培養は不要だろう。なお、夜の梅の人体実験は、アズランに協力してもらって、人造人間と取替予定の人間を使ったらしい。若返ったと思ったらそれっきりだったんだろう。お気の毒ではあるが、おれの国の立派な礎になったわけだから、あの世に行った先でさぞ満足していることだろう。


 なお、夜の梅配布先は、今のところスケルトン改造人造人間と取り替える程ではないが取り込んだほうが良さそうな連中を予定している。




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― 新着の感想 ―
[一言] 怪物君初代ネタはグー。 続きも楽しみにしております
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