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第92話 大魔法『物質変換』


 トルシェが作ってくれた扉を開けて、俺たちは無事恵比寿の拠点に戻った。


 メッシーナはのどが渇いていたらしく、水を飲んでくると言って、涼音のいるリビングの方にいった。


 俺はその間に、トルシェに簡単な状況説明をしておいた。


「面白そうだったんですね。悪魔コンニャクの加工も目処が立ったから、今度はわたしもダークンさんについていこう」


「悪魔コンニャク、なんとかなったのか?」


「まだ人間で試していないから完成でもないし、エグみも取れていないからまだまだだけど、おそらく、これならってところまで来ました」


「やったじゃないか。出来上がりを急いでいるわけじゃないから、そっちはぼちぼちやってくれ。エグミがとれたとして、俺は虎〇の夜の梅みたいな感じでまとめてほしいけどな。ご贈答用にもってこいだろ?」


「羊羹風ってことですね。添加物として小豆あずきはいいかもしれませんね」


「期待してるぞ。

 メッシーナが帰ってきたから、再出撃だ!

 いや待て、待て。ここでアズランを連れて行かなかったら文句が出そうだから、

 トルシェ、アズランに連絡とって、成都にまた遊びに行くから戻ってくるように言ってくれ」


「はーい。

 ……。アズラン、ダークンさんが今戻ってきてるんだけどね。成都に遊びに行くからアズランに戻ってこいって。

 ダークンさん。アズランは今首都高で20分程で戻ってくると言ってます」


「そうか。そしたらその間に、すっかり忘れていたサティアスに、さっきの悪魔に心当たりはないか聞いておくか」


 サティアスは鳥かごに入れたまま、じゃまにならないように部屋の隅に置いていたので、これまでと一緒ですっかりその存在が俺の意識から消し飛んでいた。思い出せてよかった。このまま100年、1000年忘れるところだった。


「……、こんな感じの悪魔ってお前知ってるか?」


 サティアスに成都で悪魔の体内っぽい空間に捕らわれたことを話して心当たりが無いか聞いてみた。


「まさか!」


 かなり驚いた顔でサティアスが声を上げた。


「もったいつけるな、早く言え!」


「は、はい。その悪魔は悪魔王だと思います。最上級悪魔の一体『貪食』が滅ぼされたことでわざわざこの世界に現れたのだと思います」


「ほー。そいつは面白い。

 もしかして、俺がそいつを斃したら、俺が悪魔の世界の王さまに成れるってことか?」


「いえ、それはなんとも。しかし、女神さまに敵う悪魔がいないという証明にはなると思います」


 俺たちを閉じ込めたところは褒めてやるが、トルシェのトランシーバーは有効だったし、簡単にトルシェのどこ○もドアで脱出できたところを考えると敵の能力はそれほどではない。これなら、カツル(・・・)


「フフフ、ハハハハ。面白い! やってやろうじゃないか!」





「ただいまー」。アズランが帰ってきた。


「アズランも帰ってきたようだし、トルシェ、ここと、この前成都で殴り込んだあのビル覚えてるだろ? あそこの地下3階の階段の先とつなげてくれ」


「了解。……。つなげました」


 例の扉が俺たちの目の前に現れた。


 よーし、悪魔王討滅だ! いっくぞー!


 もちろんサティアスの入った鳥かごは適当に拠点の隅に置きっぱなしだ。次回サティアスがいつ登場するのは女神である俺さまにも分からない。



 俺たちはトルシェの作った扉をくぐり抜け、また地下3階への入り口前にやってきた。新隊員トルシェとアズランを得て戦力倍増の俺たちに怖いものはない!


 いつも通り俺が先頭に立って扉を開ける。


 開けたその先は荒野だった。最初の時の荒野はタダの荒れ地だったが今度の荒野はそこかしこに溶岩池があり、溶岩の流れが網の目のように走っていた。荒れ地の先の火山からはもくもくと煙が吹き上がり火口から溶岩が流れでている。


 空は雲だか煙で覆われているが、地面の溶岩の照り返しで赤黒く見える。まさに地獄のような世界だった。嫌な臭いも鼻を突く。生物的な嫌な臭いは気にならない俺も、こういった化学的臭いは気になるのだ。


「硫黄の臭いか?」


「ちょっと暑いですね」


「私たちなら何ともないけど、メッシーナとバイザーは厳しいかも?」


「だな。

 メッシーナとバイザーはここに残っていろ。フラックスは二人を守れ」


「「はい」」


「じゃあ、いってくる」


 俺が先頭になって地獄の荒野に一歩踏み出し、トルシェとアズランが後に続いた。


 最後に出てきたアズランが扉を閉めたら、扉が消えてしまった。まあ、トルシェのど〇でもドアで見慣れた演出なので特段驚く必要はない。


「しっかし、硫黄の臭いがキッツいなー。

 トルシェ、臭いケシの魔法ってないか?」


「ちょっと思いつかないなー。それよりどっちにいきます?」


「向こうに見える火山の方にいってみるか。一番目立ってるからあの辺りに何かあるんじゃないか?」


「ダークンさん、面倒だから、あの火山、吹き飛ばしちゃいますか?」


「ほう、そいつは景気が良くて面白そうだな。

 誰の迷惑にもならない上に珍しいものが見られるわけだ。やらない手はないな。トルシェ、やっておしまいなさい!」


「はーい。

 この日のために準備した大魔法『物質変換!』」


 何だか凄そうな名前の魔法だ。現代科学に触れたトルシェの新魔法がいかなるものか楽しみだ。


「ダークンさん、3分後に『物質変換』が発動します。発動したらわたしたちもタダじゃすまないと思うので、さっきの階段下に退避していましょう」


 俺たちでさえタダでは済まないというほどの大魔法か。期待でワクワクだ。


 目の前に現れたどこで〇ドアから俺たちはいったんメッシーナたちが待つ階段下に移動した。


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