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第87話 第2次攻撃隊発進!2


 敵の本拠地に対して、2度目の総攻撃だ!


 車が例の高層ビルの正面に止まったところで、俺たちは運転手を残し車から降りてビルの玄関に向かって走り出した。


 ビルの玄関のガラスの扉の前にポールが2本立てられ、その間に『CLOSED(クローズド)』と書いた看板が下がった鎖がかかっていた。


「あれ? 今日は休みだったのか?」


「女神さま、人の気配が全くありませんし、ここから中を見ても、玄関ホールの照明がともっていませんし、上の階の窓からも照明の光が漏れていません。誰もいないのかもしれません」


「もしかして、もしかしなくても逃げられた?

 えーい、しくじったな。このまえ皆殺しにしておけばよかった。

 メッシーナの訓練にそこらの人間を切りつけるわけにもいかないし、どうするかな。

 頭にきたから、このビルをぶっ壊してやるか? 敷地が広いから久しぶりに『神の鉄槌(注1)』で叩き潰してやってもいいな」


「女神さま、落ち着いてください。

 これだけのビルですから、まだ中に悪魔崇拝者が潜んでいるかもしれません。中に入って確認しましょう」と、バイザーが俺を押しとどめた。バイザーの手には例のメイスが握られている。


「それじゃあ、玄関のガラスをお前が叩き割るか?」


「それだと大きな音も立ちますし、きれいには割れないので、女神さまのコロ殿にお願いしたいのですが」


「それもそうだな。

 コロ、そこのガラスを人が通れるように適当に食べてくれ」


 コロから触手が伸びて、玄関のガラスの扉に人がひとり通れるくらいの孔が空いた。


「ありがとうございます。

 女神さまは、いつもの鎧姿ではなく、その修道女の姿で突入されるのですか?」と、バイザーが聞いてきた。


「よく似合ってるだろ?」


「よくお似合いですが、大丈夫ですか?」


「お前だって神父のコスプレじゃないか」


「何度も言いますが、これはコスプレではなく本物の神父服です」


「そういうなら、俺の着ているこの修道女服は偽物なのか?」


「もちろん本物です」


「だろ」


「分かりました。

 どういうフォーメーションでいきましょうか?」


「この前と同じ感じで、中にはいったら、メッシーナとフラックスが前衛で、俺とバイザーは両翼だ。残りの2人は後からついてくるだけでいい」


「了解しました。

 △#%、……」


 バイザーが、連れてきた2人の下っ端構成員に俺の言ったことを訳して伝えたあと、俺たちはコロの開けた孔を抜けて建物の中に突入した。もちろん誰も俺たちのことを迎撃し(むかえ)てくれなかった。誰もいないところに突入したとして、これは奇襲成功と言えるのだろうか、とふと思ってしまった。


「どこから確認していく? 下は地下3階、一番上は確か30階だった。前回は最上階でサティアスを見つけて、地下3階で巨大悪魔を見つけている。その巨大悪魔のいた地下3階は地下室じゃなくて荒野だった」


「地下の荒野というものを見てみたいので、一度地下3階まで下りてそこから順に上がっていきますか」


「それでもいいぞ。エレベーターはどうせ使えないだろうから、階段で降りる。

 階段はこっちだ」


 今度は俺が先導する形で階段までいき、そこから地下3階まで下りていった。


「一応は悪魔を倒しているから間違いはないと思うが、攻撃があっても困るから、俺が先に中に入ろう。前回は不意打ちではなかったが、悪魔の攻撃を受けて鎧の下に着ていた普段着が燃えてしまったからな」


「それで、女神さまはおケガはなかったのですか?」


「もちろんなんともなかったが、普段着が燃えてしまったのが残念だった」


「今回もしそういった攻撃があれば、女神さまの今の衣装も燃えてしまうのでは?」


「そんときはダークサンダーを着るけどな」


 俺は地下3階への扉のノブに手をかけて、


「それじゃあ、1、2、3で開くぞ。

 1、2、3」


 扉を開いた先には荒野など何もなく、代わってそこから見えたものは、車が1台も見えなかったが正しく駐車場だった。


「あれ? 駐車場になってる?

 確かに荒野より収益性は高いかもしれない」


 おそらくあの荒野を作っていたのはドーム型の巨大悪魔だったのだろう。その悪魔がトルシェによって解体されてしまって、荒野を維持できなくなり本来の駐車場に戻ったのではないか? と、俺の頭脳が告げている。


「荒野がなくなってしまった以上ここには用はないな。次いこう」


 何も言わないバイザーたちを引き連れて、地下2階まで階段を上がり、そこの扉を前回同様俺が開いた。


「ここも、駐車場か。次いくぞ」


 地下2階は地下3階同様車が1台もない駐車場だった。


 次の地下1階。再び俺が扉を開けると、そこは商店街だったが、人っ子ひとりいなかった。


「やはり、みんな逃げ出して誰もいなくなったのかな?」


「気を取り直して、次の2階にいきましょう」とバイザー。


「あれ? バイザー、お前の手下、2人とも見えないけど、車に返したのか?」


「あっ! いない。

 車に帰してはいません。いなくなっています」


「メッシーナとフラックス、あの二人、いついなくなったかわかるか?」


「気づかなかった」「私もです、申し訳ありません、マイゴッデス」


「やっぱり何かがいるな。気を引き締めていくぞ」


「「はい」」


「あの二人を見捨てるわけにはいかないから、もう一度、地下3階に降りてみよう」


「「はい」」




注1:神の鉄槌

本来は、神滅機械リンガレングが終末回路を活性化ロードすることにより発動可能となる特殊攻撃の一つ。対象を超低温で凍り付かせることで脆弱化し、超重力で一気に押しつぶす。女神となったダークンは、この『神の鉄槌』を含めリンガレングの特殊攻撃は全て発動可能である。




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