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第86話 第2次攻撃隊発進!


 多数の警察官を含む数千人規模の老若男女が下半身をさらけ出したこの事件は、大陸中国当局は否定したが、SNSへの動画投稿が相次ぎ、日本においても集団ハレンチ事件として夕方には大きく報道されていたらしい。俺はテレビを見ていないのであくまで涼音の受け売りだ。


 本場の四川料理を食べ損ねた俺たちは、涼音のマンションの下のレストラン街にある広東料理の店で、たらふく飲みかつ食べた。訳も分からず連れてこられた涼音たちも久しぶりの中華料理だったので結構な量食べていた。先程の集団ハレンチ事件の話はそこのレストランでも話題になっていたので、なんだか俺が褒められているようで酒が美味うまかった。こうなると、機会があればまたやってやろうという気にもなる。


 外食の場合、店が閉まればそれでお開きになるので、その日はそこまでで食事会という名の飲み会は終了した。



 翌日。IEAの東京の出先から使いの者がやってきて俺たちのパスポート関係一式と航空券、それに俺の修道女のコスプレ衣装を届けてくれた。俺たちの顔写真はアナログ写真だろうがどこで撮ったのかちゃんと貼ってあった。出発は5日後。羽田発9時間20分の便に乗り約6時間で成都まで飛ぶ。時差は1時間なので、成都到着は現地時間で14時30分となる。


 トルシェは瘴気サウナを作るべく、大広間の一画を拡張した。そこに瘴気が漏れがないよう前後に気密ドアを取り付けた気密通路を作りその先に瘴気サウナを作った。サウナ部屋の真ん中には例の祭壇が鎮座しており、いい塩梅に祭壇から瘴気があふれ出ている。祭壇の周りに俺たち用に椅子が3つ並べられているが、この椅子は今のところ急場しのぎのタダの椅子だ。最新式のマッサージチェアを注文しているので、数日後にはそれに交換される予定だ。


 瘴気サウナを作り終えたトルシェは、新たな研究課題、悪魔コンニャクと悪魔スキンの有効利用に取り組むため、さらに大広間の一画を拡張してそこで研究室を作り研究を始めた。


 アズランは人造人間とのターゲットの情報収集のためでかけていった。白鳥麗子は相変わらずノートパソコンに張り付いている。メッシーナは、素振り程度でいいからやっておけと言った俺の言葉を守っているつもりなのか、スティンガーで素振りしながら走り込んでいる。


 俺はといえば、涼音に手伝ってもらってIEAが届けてくれたコスプレ衣装を着て修道女になってみた。白いワンピースの上に同じく白い襟懸えりかけを着け、その上から黒い上っ張りのようなワンピースを着た。頭の上に白いスカーフを巻いてさらに黒いベールを掛けて出来上がりだ。最後にコロがベルトに擬態して俺の腰に巻き付いた。


 ロングのワンピースなど長いこと着たことはなかったが、意外と動きやすい。これでダークサンダーを上から着ると、鎧の下でスカート部分の状態がどうなってしまうのかいささか不安だが、昨日めぼしい敵はあらかた処分したはずなので、今度の成都いきでは、ダークサンダーを着なくてもいいかもしれない。


「ダークンさんは化粧を全くしてないすっぴんでもほんとに肌が綺麗で羨ましいです」


 などと、涼音におだてられてしまった。そう言っている涼音も俺の加護だか祝福を受けているせいか肌はきれいだしシミ一つない。


 今回巨大悪魔のコンニャクをどうにかして不老薬や若返り薬を作れれば神の国計画に大いに役立つと思ったが、単純に俺の祝福だけでもかなりの効果が期待できるような気もする。



 5日後。


 実際問題、トルシェに頼めば好きな時に成都に行き来できるのだが、飛行機に久しぶりに乗ってみるのも楽しそうなので、俺とメッシーナ、それにフラックスの3人で飛行機に乗り込んだ。バイザーたちとは成都の空港で落ち合うことになっている。


 ミッションが終了したら今度こそ成都で本格的四川料理で大宴会をしようと思っているので、トルシェに頼んでトランシーバーを作ってもらった。作業が終了したらそのトランシーバーを使ってトルシェに連絡し、連絡を受けたトルシェは拠点に残っている連中を連れて成都にやってくることになっている。今回は事前に成都の高級ホテルの場所も確認済みだ。俺たちのこういった方面に懸ける情熱と熱意は本物なのだ!


 現地時間で午後2時半、飛行機は無事成都に到着した。特に荷物の無い俺たちはそのまま到着ロビーからバイザーたちが待っているはずの正面玄関に移動した。


 大男のバイザーは玄関近くですぐ見つかったので、簡単に俺たちは合流できた。バイザーの連れてきたIEAのエージェントの数は2人で、基本的には戦闘に参加せず記録などを取るのだそうだ。俺にとってはその方がありがたい。


「女神さま、ありがとうございます。

 メッシーナも久しぶり。元気そうで何よりだ」


「ああ」「うん。元気にしてる」


「女神さま、車を用意していますので、こちらへどうぞ」


 バイザーに先導されて俺たちは、空港の正面玄関から少し移動し、そこに停めてあった黒塗りの大型車に乗り込んだ。運転手の隣りの助手席にバイザー。メッシーナと2人のエージェントが2列目。俺とフラックスが3列目のシートに座った。


 バイザーは車の中に置いてあった長めの木箱のようなものを持って助手席に座ったのだが、その箱の中には例のメイスが入っているのだろう。


 メッシーナの得物のスティンガーは俺がキューブに入れているので空港の出入りで何も問題ないが、バイザーのメイスはどうやって運んだのかは謎だ。おそらくIEAのルートが大陸中国内にもあるのだろう。


 俺は車の中で、先日の戦果についてバイザーに話しておいた。


「……、というわけで、サティアス・レーヴァを捕まえて、ついでに何とか言う巨大悪魔も斃しておいた。中にいた連中を皆殺ししてしまうと、メッシーナの訓練にならないし、お前たちも暇になるだろうと思って半殺しにしておいたからな。

 最後に、中華レストランを探して街を歩いていたら警官にウザがらみされたんで、そこいらの連中の下半身に着けているものをコロに全部食べさせてやったら何事もなく(・・・・)解放された」


「あのハレンチ事件は女神さま」


「そういうことだ、俺のとっさの機転で連中も命拾いしたわけだ」


「そ、そうですね。

 それはそうと、やはりサティアス・レーヴァとはサチウス・ラーヴァのことでしょうか?」


「そうだ。あいつは以前、ひょんなことから俺のペットになって鳥かごに入っていたんだが、俺が留守にしているあいだに逃げ出してこの世界で悪さをしてたようだな。で、先日捕まえてまた鳥かごに入れ直して、今は恵比寿の俺たちの拠点に鳥かごごと置いている」


「そうだったんですね。了解しました。

 それで、巨大悪魔とは?」


「いったついでだったんで、連中のアジトの地下にいったらドーム型をしたでっかい悪魔がいたんだ。お前たちじゃあさすがに手が負えなかったろうが、たかが悪魔だ。結局解体してトルシェの研究試料兼素材にしてしまった。後でサティアスに聞いたら、サティアスなんかよりよほど上級の悪魔だった。名まえはえーと。珍しく思い出した。たしか『貪食』とかいってた。ちなみにそいつも中身がコンニャクだったんだが、ちょっとだけそぎ落として食べてみたところ、この前の悪魔同様エグくて食べられたものじゃなかった。結局吐き出したけどな」


「やっぱり食べたんですね。

『貪食』については私では分かりませんが、我々が最上級悪魔と思っていたサチウスより上位の悪魔が存在したということは人類にとって脅威だったのでしょう。その悪魔を退治していただき、女神さま、本当にありがとうございます」


「物のついでだったし、そこは気にするな。

 サティアスだが、研究用に持っていくか? うちで飼っていてもあいつは何の役にも立たないし、必要ならお安く(・・・)してやるぞ」


「いちおう上には話しますが、さすがに最上級悪魔を我々でどうこうできるとは思えませんので、無理じゃないかと思います」


「うちに置いといてエサ代がかかるわけじゃないからうちに置いておくから、気が変ったらいつでも言ってくれ」


 サティアスを有効利用しようと思って営業してみたが、顧客の反応は今一だった。


「最後にお聞きしますが、悪魔崇拝者たちを半殺しにしたとは?」


「さっきも言ったように、皆殺ししてしまえば今日のメッシーナの訓練にならないから、半分だけ殺したって意味だ。あのビルから連中が逃げだしていなければ、半分残ってると思うぞ。1週間近く前の話だから、うまくすれば補充されているかもしれない」


 などと話していたら、例の高層ビルが間近に迫ってきた。


「運転手、そのまま正面に乗りつけてくれ」


 俺が運転手に向かって指図したら、それをバイザーがイタリヤ語らしきもので通訳してくれた。運転手の見た目は東洋人だったので、日本語で話しかけたが意味は通じてなかったようだ。




修道女の服装は適当です。調べても良く分かりませんでした。

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