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第83話 巨大悪魔1


 サティアスの入った鳥かごを持って、俺たちはルンルン気分で階段を駆け下りていった。時たま扉が開いて階段の踊り場に悪魔崇拝者たちがでてくるが、トルシェは上の階段と下の階段との間隔が1階分しかないため記録更新の望めないスッポーンは諦めてしまっている。ということで湧き出てくる端からコロに捕食させることにした。



 俺たちは1Fと書かれた踊り場を通り過ぎて、そのまま最下層のB3まで下りていった。


 階段シャフトの底から地下3階への扉の先から何が出てきてもいいように、俺が先頭に立って、扉のノブに手をかけた。


「開けるぞー。な・に・が・で・て・く・る・か・な?」


 俺は扉を開ける前に、鉱山のカナリア代わりにサティアスの入った鳥かごを前に出して、


「改めて開けるぞー!」


 扉を開けたとたん凄い攻撃を受けてもいいよう鳥かごを前に出していたのだが、残念なことにそういった攻撃はなかった。


 一歩進んで中を見渡すと、そこはまさに異空間。ダンジョンで異空間は慣れている俺だが、現代ビルとのコラボはさすがに初めてだ。


 そこは見渡す限りの荒野で、天井はなく曇った空があった。


 荒野の向うには半球状の白いドームが見える。ドームの一番上にはピンク色の突起が付いていた。


「ダークンさん。面白いところに出ましたね」と、後ろからトルシェ。


「あの白いドーム、何だか事件の臭いがします」と、後ろからアズラン。振り向くと、アズランが訳知り顔で腕を組んでいた。そのアズランの肩に止まっているフェアはしきりに頷いている。アズランは刑事もののドラマでも見て感化されたらしい。


「何が出るか分からないから、いつも通り俺が先頭で後ろをトルシェ、アズランは遊撃だ」


「「はい!」」


 返事と同時に俺の後ろからアズランの気配が消えた。


 俺はサティアスの入った鳥かごを地面に置いて、いつも通りエクスキューショナーを右手、リフレクターを左手に持ってドームに向かって歩いていく。


 10歩ほどドームに向かって歩いていたらいきなりピンク色だったドームの突起が白く光った。と、思ったら、俺のダークサンダーの胸の辺りが赤くなっている。すぐに鎧の下に着ていた普段着に火が着いてしまったようで、ダークサンダーの隙間から煙がでてきた。マズい! 俺自身この程度の熱でどうにかなるわけではないが服が燃えるのは困る。


 ダークサンダー内での出来事のため酸素不足でいったん火が着いた普段着は燃え広がらずそのまま炭化したようだが少しずつ炭化の範囲が広がっていく。しかも石油系の化繊も使われていたようで、溶けた繊維が肌にくっ付いて気色悪いことこの上ない。地味だが嫌な攻撃だ。


 これ以上被害が鎧の下で拡大しないように「トルシェ。俺の頭の上から水をかけてくれ」と、俺の後ろからついてきているトルシェに頼む。


「上からですか?」


「前からでもいい」


「後ろからだとダメ?」


 そんなことを言っている間にも、俺の上半身の衣服は焦げていく。もうダメだ。俺の普段着の前面はブラも含めて焼け落ちてしまった。


 許さん! この恨み晴らさでおくべきか!


「トルシェ、手遅れだ。もういい。とにかく俺の後ろに隠れていろ」


「はい。

 ここからでもあのドームを攻撃できるけどどうします?」


「俺が攻撃を受ける分にはもう(・・)何ともないから、もう少し様子を見よう。最悪、『神の~』シリーズで片を付けてやるから」


「了解」



 アズランは俺の視界では捉えられないが、ドームにすでに取り付いているようだ。先程発光したドームの突起を破壊しようと狙っているのだろう。



 ドームに接近していく俺に向かって、だいたい15秒おきにドームの突起が光り、そのたびに俺のダークサンダーのどこかが赤くなって、残っていた俺の普段着と下着が煙を上げて溶けたり炭になっていった。溶けてしまった化繊は俺の肌にくっ付いたままだが、炭に成ったものはブーツの底にこぼれ落ちていった。ブーツの底に炭が溜まって何気に不快だ。


 現在の俺はダークサンダーの下には何も身に着けていない裸エプロンならぬ裸全身鎧状態だ。じかにダークサンダーの内側を感じると何気にごつごつしているし、歩いていると出っ張りが妙なところに当たるものだからどうにも集中できない。


 それでも、俺がドームにとり付いたときには、ドームの突起がアズランに壊されてしまったようで光の攻撃は止んでいた。


 そのドームだが、見た目は固い何かでできた建造物と思っていたのだが、触ってみると柔らかい。それどころか、何か内部からの鼓動のような振動を感じた。


 最初見た時はドームの中に何かが隠れていると思っていたのだが、どうもこのドーム自体が何らかの生き物のようだ。


 ならばと、様子見のつもりで、右手に持ったエクスキューショナーをドームに突き刺してやった。


 エクスキューショナーを突いたところで、50センチほどドームの表面がへこみ、簡単には突き刺さらなかったのだが、さらに押し込んだら、やっとドームの表皮?を突き破ってエクスキューショナーが突き刺さった。妙に硬い表皮だ。表皮の先はそれほど抵抗はなかったので、中は柔らかいようだ。


 せっかくエクスキューショナーを突き刺したのだからと思って俺は突き刺したままドームの周りをぐるりと一周してやることにした。これぞまさに超巨大割礼だ! ドームの周りを1周した暁には、表皮がズル剥けて立派な頭が現れるに違いない!




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