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第79話 成都突入!1


 メッシーナの謎の能力も何となく解明できた。あれなら成都に連れていっても問題ないだろう。


 安心した俺は競技場を後にして広間に帰った。相変わらず白鳥麗子はパソコンの画面を食い入るように見ている。二十歳すぎて目が悪くなることはあまりないかもしれないし、悪くなったとしてもトルシェに頼めば簡単に治るだろうから何も言わないが結構画面に顔が近い。



 その日の夕方も例のごとく広間の真ん中で酒盛りをした。そこで今度メッシーナとメッシーナの相棒のフラックスを連れて成都に行って一暴れしてくるとトルシェたちに告げたら、


「えー、ダークンさん、ずるーい。一緒にいきたーい」


「私もいきたいです!」


 とトルシェとアズランが言い出した。


「悪いが飛行機の切符とパスポートだかビザだかは3人分しかないから今回は諦めてくれ」


「だったら、ここと、成都を繋げちゃえば問題ないでしょ?」


 と、トルシェが言い出した。そういえばここの天井の上はヒマラヤにつながってるんだった。


「確かに。

 そしたら、最初から飛行機とかパスポートとか不要だったな。いちおう準備したから飛行機には乗るが、トルシェたちは後からやって来いよ。ホテルに泊まるにはパスポートが必要かもしれないけど、こっちに戻ればいいだけだし、まさかレストランでパスポートは不要だろうしな」


「それじゃあ、明日中には用意しておきます」


 白鳥麗子がなにやら俺の方を向いて目で訴えかけてきていたので、


「この件が片付いたらみんなで成都に飯でも食べに行こう。満漢全席なんか旨いんじゃないか? 白鳥麗子はいい店でも探しておいてくれ」と、言ったら、


「はい!」と、良い返事が帰ってきた。





 トルシェは約束通り次の日の昼には成都と広間をつなげてしまった。つなげた先は、成都の中心部に近い公園の中らしい。作業そのものは2、3分だったが昼近くまで酒盛りをしていたせいで遅くなっただけだ。


「ダークンさん、試しに成都にいってみましょうよ。そこの扉の先が成都です」


 頷いた俺は、トルシェの作った新しい扉を開けてみたところ、そこはトルシェのいった通り公園が広がっていた。その先には高層ビル群が見える。公園から見て扉はどんな具合に見えるのか、試しに公園に出て振り返ったら、扉は見えなかった。見えないだけでそこにあるはずと思って手探ったが、何もない。何かあると確かに問題だが何もなければ帰れないのでもっと大変だ。どうすんだ? と思っていたら、トルシェがいきなり目の前に現れた。


「トルシェ、扉がないけどどうなってるんだ?」


「扉があると目立つし、見えないよう透明にしていても人がぶつかれば騒ぎになると思って、出口だけの一方通行にしちゃいました」


「トルシェの言うことはもっともだけど、それじゃあ、俺たちはここから帰れないじゃないか?」


「おっと! わたしまでここにきちゃったから、帰れない!

 ってことはありませんから安心してください。わたしがいればどこからでも大広間につながる扉を作れますから」


「さすがは、トルシェ。トルシェがいなければ帰れないのは困るけど、ここにそんなに来ることなんかないわけだしそれで十分ではあるな」


 そうこう話していたら、なにもないところからいきなり扉が開いてアズランがやってきた。


「ほう、なかなかいいですね」


「そうだ! アズランもきたことだし、なんとか言う連中のアジトまでいってみませんか?」


「それもそうだな。バイザーによると、俺なら連中のアジトの場所が簡単にわかるはずだと言ってたし。どれどれ」


 それらしきものを探す気になって見回すと、林立する高層ビルの中に、なにやら瘴気のようなものが漂っている高層ビルがあった。


「ビルから瘴気が漏れてたから、わかったぞ」


「あっ! あのビルだ。気持ちよさそー」


「久しぶりに瘴気にあたれますね!」


「そういえば長いこと瘴気にあたっていないから、これでリフレッシュできそうだな。

 早速行こう」




 俺たちは見つけた瘴気の漂うビルに向かって歩いていった。そんなに距離はないように見えたのだが歩いてみるとなかなか近づけない。


 新宿では道に迷ったが、知らない道とは言え、高層ビルを視覚に捉えながら目指していく俺に死角はない。


 颯爽と先頭を歩く俺に肩にフェアを乗せたアズランが、


「ダークンさん、そっちに曲がると大回りです」


 死角は無いが間違いはある。


「ダークンさん、一応皆殺しですか?」


「メッシーナたちに訓練もさせたいから、今回は半殺しでいいんじゃないか」


「じゃあ、半分だけ残します」


 半殺しの意味が少し違うようだが、相手は悪魔に魂を売ったやからだ。容赦する必要など微塵もない。最終的に皆殺しにするつもりなので結果は同じだからな。いやー久しぶりに大暴れするぞー!



「よーし、それなら久しぶりにスッポーンで決めてやろ!」


 振り向くとトルシェの顔が輝いていた。俺も久しぶりトルシェのスッポーンを見たくなったので、


「いいスッポーンを期待してるぞ」と言って励ましたら、満面の笑みのトルシェから、


「任してください!」と、力強い言葉が返ってきた。


 スッポーンはいいが。敵の本拠地に殴り込みをかけるなら、できればこの世界で出世して悪魔の元締めらしきものになりおおせているサティアスを捕まえてやりたいものだ。


 まてよ、サティアスはもともとは俺のペットだったはず。サティアスを捕まえればサティアスの子分どもは俺の子分に自動的になってしまうのか? 悪魔の元締めの背後には神がいる。その名も『常闇の女神』。カッコいいがそれじゃあ俺が邪神になってしまう。ここは心を鬼にしてサティアスをサックリ滅ぼすしかないな。



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