78.鉱山攻略 その1
さて、時間は進みガオンと約束した鉱山へと行く時間となった。
あのあとはサイも何やら忙しそうに動き回っていたので、ほとんど行動を共にしていない。
サイはもう現地に着いていると連絡が来てるし、俺も急ぐか。
「あ、きたきた。おーい」
「悪い、待たせたか」
「んー、約束の時間よりはまだ早いから大丈夫なんじゃない? まだガオンも来ていないんだし」
「そっか。それならよかった」
今回は案内してもらう側と言うことで早く来たのだ。
遅刻なんてしたら心証が悪いし。
……ガオンはあまり気にしないだろうけど。
「それで、今日は鉱山に潜るときの採掘パーティで護衛をするんだっけ」
「そうそう。どんなモンスターが出てくるかはこの後ガオンが……あ、来た」
サイの視線の方角に目を向ければガオンがこちらにやってくるのが見えた。
「お待たせしたようですね。失礼いたしました」
「私たちが勝手に早めに来ただけだから気にしないで」
「そうだな。それよりもガオン、俺たちと一緒に行くメンバーは?」
「彼らの紹介も兼ねて近くの酒場兼食事処で話しましょう」
「そうね、立ち話も何だものね」
「わかった移動しよう」
ガオンに連れられて向かったのは大通りに面した立派な建物。
ここが酒場兼食事処だと言うのだからファンタジーである。
「さて、皆さん。こちらの方に個室を用意してありますから、どうぞ」
「ここでも個室なんだな」
「今日の話は聞かれても痛くないんですが、何分賑やかな方々が一緒なもので」
「賑やか?」
「……まあ、あえばわかります」
微妙にはぐらかされたが、これから会う人たちのことだろう。
どんな人たちなんだろうかね?
「さあ、つきましたよ。……ペン、ノート、コンパス、入りますよ」
「……やっぱりあいつらかぁ」
「サイは知ってるのか?」
「噂程度には」
「ふうん、有名人なんだな」
「会えばフィートも理解できるわよ」
そう言って個室に入っていくサイ。
俺も追いかけて個室へと入って行くが……。
「おう、今日のお客人第二号様が来たぞ!」
「早速乾杯だ乾杯!」
「中身はリンゴジュースだけどな!」
「「「乾杯!!」」」
室内に入った途端にそんな賑やかな声が響いてきた。
隣にいたガオンの方を向くと、やれやれと言わんばかりに首を振っている。
「……ガオン、彼らが今回護衛をする相手で間違いないのか?」
「ええ、間違いありません。ペン、ノート、コンパス。人呼んで文房具トリオです」




