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銀翼の冒険者がゆくVRMMO冒険譚~ときどき(彼女が)配信中~  作者: あきさけ
第二章 ゲーム二日目 薬屋と精霊の森
14/101

14.初ボス戦 VS.ゾンビグリズリー

「さーて、困ったぞ。攻略情報なんて仕入れてなかったから、ボスの倒し方なんて知らないし……」


 ゾンビグリズリーはレベルだけ考えても格上だ。

 それに、どうせパーティ推奨ってことだろうし、ソロで勝てるような相手でもないだろう。

 どうしたものか。


「周囲の赤い霧の中、突っ込んだら最低でもダメージはもらうだろうな……」


 と言うか、絶対に逃げられないやつだろう。

 ご丁寧に空まで塞がれているしどうしようもない。

 こちらは遠距離武器なんだから、遠巻きにペシペシ当てていればそのうち勝てる……か?


「ともかく戦闘を始めよう」


 ファーストアタックは譲ってくれるようなので、最大火力のスリーショットを撃ち込んでみる。

 すると、なんだか嫌がるようなそぶりを見せて立ち止まってしまった。

 なので、続けてインパクトショットで吹き飛ばし間合いを開ける。

 さて、いまの攻撃でHPが……3%ほど削れたし、まずは順調と思っておこう。


 遠距離ならば反撃は受けないはず、そう思って通常攻撃をしていたが見込みが甘かったようだ。

 ゾンビグリズリーは地面をえぐり飛ばし、土塊(つちくれ)をこちらに飛ばしてきたのだ。


「うわっ! あぶねぇ!」


 その攻撃の間に一気に間合いを詰めてきたゾンビグリズリー。

 こちらも、インパクトショットで再度ノックバックを誘発し、距離を開ける。

 ……ノックバックする敵ならボスでも強制的に距離を開けられるインパクトショットって優秀だな。

 速射カスタムを作っておいてよかった。


 その後も一進一退の攻防が続くが、ある程度以上間合いが開くと土塊攻撃が飛んでくることはわかった。

 なので、こちらとしてはその距離まで間合いを開けないように注意すれば大丈夫と言うことになる。

 ただ、現時点ではゾンビグリズリーを倒しきれるようなMPはもっていない。

 そのため、ポーションセットに入っていたMPポーションを飲みながらの戦いとなった。


「ふぅ。ポーション、飲めないわけじゃないんだけど、ちょいと味にえぐみがあるよな……」


 おかげで飲み込むのに少し時間がかかる。

 もっと飲みやすいポーションが手に入ればいいんだけど……。

 そんなことを考えていたため、隙ができてしまった。

 ゾンビグリズリーが正面から勢いをつけて突っ込んできたのだ。


「くっ! ハイジャンプ!」


 なにも考えずレベル5で飛んでしまうと空の霧にぶつかってしまうので、レベル2程度にとどめておく。

 緊急回避は間に合ったようで、俺の真下をゾンビグリズリーが駆け抜けていった。

 だが、攻撃はこれで終わらなかったようだ。


「グルゥ……ゴガァ!!」

「!? バランスが崩れる!?」


 ゾンビグリズリーが吠えた瞬間、滞空ができなくなり地面へとたたきつけられた。

 幸い、受けたダメージはわずかですんだが、スタン状態となり身動きがとれない。

 そこへ、ゾンビグリズリーからさらなる追い打ちが入る。


「グルルル……グァァ」

「……なんだ? 闇色の光? まさか、闇魔法か!?」


 このゲームにおける魔法属性は基本的に五つ。

 炎・氷・水・風・雷だ。

 そのほかにNPCやモンスターが使う属性として光属性と闇属性が確認されているらしい。

 プレイヤーでも光や闇を覚えられるんじゃないか?

 そんなことを検証するために、たくさんのプレイヤーが調べているそうな。


 まあ、いまはそんなことどうでもいい。

 全身から闇色の光を放つゾンビグリズリーは、魔法の詠唱を終えたようで闇が上空に舞い上がっていく。


「なんだ? 直接攻撃じゃないのか?」


 ゾンビグリズリーも警戒するようにこちらを中心にぐるぐる回っているだけなのでうかつに手を出さない。

 そして、少し時間が経った頃、ポツポツと雨が降ってきた。


「……黒い雨? って、ダメージを受けてる!?」


 チラリと上空をみれば先ほどの闇が黒い雲となり、雨を降らせていた。

 その雨粒を受けると、ダメージが発生するらしい。

 雨宿りができる場所がほしいところだが……そんな場所はないので、おとなしくポーションで回復しよう。


「……熊のほうは逆に少しずつダメージが回復しているな」


 どうやら、この雨はプレイヤーにダメージ、ゾンビグリズリーに回復となるようだ。

 回復中は積極的に攻撃してこないようだし、こちらも生存するための回復に集中しよう。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 あのあと、黒い雨はゾンビグリズリーのHPを10%回復させるところまで降り続けていた。

 その間に使わされたHPポーションの数は十五個。

 手持ちのポーションをほとんど使ってしまった。


「……HPポーションはほとんどないけど、MPポーションはまだある。弾丸も十分以上に余裕がある。これ以上回復させなければ十分に倒せるはずだ」


 あの黒い雨の使用条件がわからないが、少なくともジャンプして逃げたらまた使われそうだ。

 それなら、攻撃に専念した方が手っ取り早いだろう。


「っていうか、気づいたことがあるんだよな」


 インパクトショットを当てるとノックバックが発生するのは当然。

 それ以外でも、火力全振りのスリーショットを当てるとなぜかスタンする。

 ほかの攻撃でもたまにスタンするんだけど、スリーショットは確定だ。

 それを利用すれば、一気にダメージを与えられると言うわけなんだよ。


「見極めれば行動パターンも結構単純だしな」


 行動パターンは、長距離だと土塊攻撃からの突進。

 中近距離ではしばらく隙をうかがってからの、突進攻撃だ。


 どちらも突進攻撃があるので、突進に対してインパクトショットをぶつければ攻撃を止められる。

 さらにスリーショットで追い打ちをかけてスタンさせ、通常攻撃で削る。

 ここまでが俺が見つけた攻撃パターンだ。


「……残りHPが10%を切ったけど、攻撃パターンが変わったりはしないようだな。やっぱり序盤のボスだからか?」


 昔やってたMMOのボスはHPが減ると攻撃パターンが変化していた。

 でも、ゾンビグリズリーはそんなことがないのでやりやすい。

 ……そうこうしている間に、ゾンビグリズリーのHPを削りきることに成功した。

 うん、慣れてしまえばどうってことはないボスだったかな?


〈ゾンビグリズリーを撃破しました〉

〈MVPプレイヤーを選定……プレイヤー『フィート』が選ばれました。MVP報酬が進呈されます〉

〈ボスエリアを解除いたします〉


 ふう、これでボス戦も終了か。

 かなり消耗してしまったな。

 一度帰って消耗品を補充してくるとするか。


「ようこそ、冒険者。よくゾンビグリズリーを倒してくださいました」


 ……どうやら次のイベントが始まったみたいだな。

 危険なイベントではなさそうだし、楽しんでから帰ろうか。

お読みいただきありがとうございます。

面白い、続きが気になる等思っていただけましたら、ブックマークや下の☆マークをポチポチして★にして応援してもらえると嬉しいです。


感想などもお待ちしております。


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Unlimited World ~生産職の戦いは9割が準備です~
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