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清水義晴 様
奈津子 様
拝啓
日増しに暑さの厳しくなる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
こちらはアスファルトが多いせいか、うだるような暑さが続いております。日照りの中、汗を垂らしながら故郷の土を懐かしく思う毎日です。畑の具合も良さそうで安心しました。また久しぶりに、採れたての胡瓜を齧りたいものです。
いえ、このような時候の挨拶より先に言うことがありました。
お父さん、お母さん、二年間弱も碌に連絡を寄こさずすみません。言い訳がましく聞こえるでしょうが、本心では何度も手紙を送ろうと考えました。しかし、何も言わずに勝手に家を出たことの後ろめたさと、必ず成功して二人を見返してやるという幼稚な反抗心から、ついに手紙を認めるに至ることはありませんでした。
正直なところ、今もこの手紙に何と書いたものかと悩みながら筆を執っています。よそよそしい文章なのは、多少の気まずさを覚えているためです。作家志望が聞いて呆れますね。
さて、今こうして手紙を書いているのは、何もこれまでの謝罪をしたかっただけではありません。一つの報告と、感謝の言葉を述べたいがためです。
先日いただいた手紙に添付されていた連絡先を当たりましたところ、正式ではありませんが、小説執筆の仕事がもらえることになりました。これまで小さな雑誌に寄稿するのが関の山だった私にとって、小説を書くというのは願っても無いことです。この機会を確実に物にするべく、これまで以上に精進していきたいと思います。
また、このような機会に巡り合えたのは、間違いなくお父さんとお母さんのお陰です。二人には感謝してもし切れません。お父さんは特に、私の為に知り合いに頭を下げることは簡単なことでは無かったと思います。本当にありがとうございました。
長くなりましたが、この辺で筆をおこうと思います。随分と顔を見せておりませんので、仕事がひと段落ついたら一度家に帰ろうと思います。また、時間が空いたら手紙も書こうと思います。
それでは、体には十分気をつけて。
敬具
清水義孝




