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魔法を失敗するだけの簡単な内定

「どうぞ」


「失礼します」


 部屋に入ると、20代くらいの若い男が座っていた。


「そこにかけて」


「どうも」


「君、名前は?」


「ローランドです」


「俺はオーリエ。今はラスタード魔法学園で教師をしている」


 ラスタード魔法学園は王都にある、ポルトゥスに勝るとも劣らない名門校だ。だが、色々と疑問が湧く。


「それで、教師の方がなぜ護衛の仕事を募集しているのですか?」


「こちらにも色々と事情があってな、詳しいことはまだ話せない」


 詳細は教えられないが、仕事を請け負えと。随分と無茶な要求だな。だが、断れないのも事実だ。


「とりあえず、君がこの仕事に適しているのか確認したい」


「どのようにして?」


 男は何かを取り出す。


「これは……何ですか?」


 男が取り出したのは水晶玉のようなものだ。サッカーボールよりやや小さいくらいの大きさだ。


「この珠の詳細は俺にもよく分からないんだが、とにかく、魔力を測るものらしい。ほら」


 男はオレに珠を渡す。


「で、どうすればいいんですか?」


「普段、魔法を使う要領でいい。そうすると、その珠が光るらしい」


「……え!?」


 まずいな。魔法が使えないことがバレてしまう。


「とりあえず、やってみてくれ」


「はあ」


 もうこうなったらヤケクソだ。一か八かやってみるしかない。


 深く深呼吸し、集中する。


 特に呪文は詠唱しないが、珠に魔力を込める。


 魔力が珠に入っていく。この感覚はいつもと同じ。しかし問題はこの後。


 目を瞑り、さらに集中する。


 珠が熱を持っているのが分かる。


「もう少しだ……いけー!」


 そう心の中で叫ぶ。


 珠は緑色に光りだす。


「ん? 緑だと!?」


 この男の反応を見るに、驚いたのはオレだけではなさそうだ。


 さらに、珠は光りだす。


「眩しい」


 目を瞑っているのにも関わらず、眩しさを感じる。まるで太陽を直接見ているようだ。


「これ以上は危ない、魔力の注入を止めるんだ!」


「え?」


 しかし、遅かった。


 珠は爆発し、粉々に砕け散る。


「ゲホッゲホッ」


 また、こうなった。


「大丈夫か?」


「はい、何とか」


 またやってしまった。これでは不合格だろう。


「すみません」


 とりあえず謝る。


「合格だ」


「え?」


「合格だと言ったんだ」


「えええ!」


「この珠を破壊するほどの魔力を持った人物を見つけて来いと、学園長に言われたんだ。いやあ、見つかってよかった」


「え!? で、オレは何をすればいいんですか?」


「君には何としてでもラスタード魔法学園に入学してもらう」


 こうして、次なる舞台が幕を開けた。

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