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第一話・日常
「いい子で待っててね。タロウくん、ホタルちゃん」
「はい。」
「うん……。」
今日もツルネさんはギルドに仕事にいく。
あのとき親を失った僕と妹を育てるために。
戦争で親を失い、
お父さんが冒険者だった頃の知り合いだった
ツルネさんというギルド職員に僕らは引き取られた。
引き取られてすぐは、
僕も妹もすごく困惑していてあまり覚えていない。
ただ、とてもつらかったのは覚えている。
あれから1年、
もともと病気がちだった妹はお父さんとお母さんをなくしたショックからか
病気が悪化。外にでることも難しくなってきている。
しかも薬は高価で手が出せない。
だから最近、
ツルネさんに迷惑をかけないように秘密に
ギルドに行って薬草を取るクエストを受けに行っている。
ギルドは誰でも登録してランク別のクエストを受ける事ができるし、
【薬草採取の依頼】を受けて薬草を渡せばお金にも代えてくれる。
そのお金を貯めて妹に薬をあげたいと思っているんだ。
「ホタル、少し外に行ってくるからちょっと待っててね。」
「うん……帰ってきてね……。お兄ちゃん……ゴホッ……。」