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2,邂逅



 掲示板のことを確認した俺はひとまず道に沿って歩き出した。道のどちらに街があるのかはわからないが、このままじっとしていても碌に人の気配がしないので仕方なく勘を頼りに進むことにしたのだ。


 なお、身体検査・・・・は歩き出す前に近くの大き目な岩の裏に隠れて行っておいた。結論は自分の体にはあまり興奮しないという事だった。もともとゲーム内ではあまり過激なことができないとはいえこの体を操っていたのは確かである。案外それも影響しているのだろう。人間は慣れる生き物なのだ。感想としては、それなりに筋肉質なはずのキャラであるが思いのほか柔らかかったとだけ言っておこう。

 補足として、自分の体という事で操れるようになっても、体の性別に精神が引っ張られるといったような現象は今のところ起こっていない。つまり、男に会っていないのではっきりとは言えないが、今のところ普通に女の子が好きで、男に対して欲情したりしてはいない。


 さて、ひたすら徒歩で進む俺だが、正直、このまま街につけなかった場合どうするのかを少しずつ考え始めなければならない。現状、腹は減っていないが、異世界に来てしまったというのならそのうち空腹を感じる時が来るだろう。

 正直、そろそろ一時間が経とうとしている(時間はメニューで確認することができ、逐一チェックしていた)程度は歩いてきたが、さすがに疑えなくなってきているのだ。――この世界が本物であるという事を。


 ひとまず、ゲーム内にも、数字だけの空腹という状態があった。なので、アイテムボックスにわずかとはいえ食料はある。それが尽きるまでに街を見つければいいわけだ。

 ただし決して多くはない。それに夜が来た場合は野宿についても考える必要がある。ゲーム内でそんなことはしたことがないから、何も道具がない。火をおこすことも、少し派手なアーツを使わなければ起こすことはできない。


 アーツとは武器の種類ごとに設定された特殊な技である。気合で再現できなくもないものもあるが、基本はかなり厳しいような技がアーツだと思えばいいだろう。そのアーツの中には炎をまとって何やかんやするような技もあるのだ。

 キャラクターは作成時に得意属性というものを三つまで設定する。その属性にそぐわないアーツは習得ができないという制限もある。今回の俺のキャラ、ペーレイアは炎を得意属性の一つに設定してあるのでその手のアーツを扱えるのだ。


 ちなみに設定できる属性は、炎、水、風、地、雷、獣、毒、呪、聖、影の10種類である。氷属性もあるが、これは水属性に含まれる。これらからわかる通り《クリエイティブライフ・オンライン》のアーツは膨大な種類がある。これを組み合わせ他者とは全く違う個性を作り出すのも醍醐味の一つだ。

 補足としてペーレイアは、炎以外の属性は、風と獣である。


 ついでというかなんというか、いっそのことキャラクターメイクについて細かく説明すると、キャラクターメイク時に選択できるのは、そのキャラの種族、得意属性、容姿、、ステータスの傾向、初期使用武器くらいなのだ。他の細かい内容はすべて開始後に自由に決める。アーツは戦闘でモンスターやプレイヤーを倒して手に入るポイントでいくらでも習得できるし、アーツとは別にスキルと呼ばれる非戦闘技能も同じ条件でいくらでも取得できる。もちろん制限もあり、武器ごとに習得できるアーツが違うが、職業などの武器使用制限がないためいつでも別の武器を使用して、その武器のアーツを習得できる。『職業』がないだけで、要求ステータスというものは存在し、それを満たしていない場合満足に武器を扱えないといった状況にもなりえるが、それでも装備できないという事はないのだ。実に自由なキャラメイクができる。ちなみに、スキルは鑑定や、探索といったものが存在している。


 そして、この手のゲームにとっておなじみの『魔法』に関しては、アーツの一部という扱いになっており、基本的には特殊攻撃力というステータスを参考に威力が決定する。その手のアーツの多くは主に杖系統の武器種に存在していて、それ以外に各武器種に2~3個程度、特殊攻撃力を参照するアーツが存在するといった具合となっている。もちろん敵キャラの中には特殊ダメージがよく効く(とおる)ようなタイプも存在するが、一応、各属性が物理攻撃力か特殊攻撃力どちらか高い方を基準に決定される特殊ダメージ扱いとなり、決して楽ではないが魔法なしでもある程度相手にできるようになっている。


 なお、このペーレイアというキャラは物理攻撃と俊敏に偏ったステータスとなっている。


 話は戻って、野宿をする場合、その派手なアーツ以外では火が起こせない、というか火の起こし方がわからん。まあ、最悪はやるがな。それで火の問題は解決という事にするとしても、水の問題もあるし、治安がわからないからそこらへんで寝ていいのかもわからない。まあ、日本でもそこらへんに寝るのはどうかと思うが。


 とかなんとか考えていると、前方から丁字のような分かれ道と、はるか前方からカカカッという小気味良い音、がたがたという何か大きなものが揺れるような音がかすかに聞こえてきた。初めは何の音か分からず足を止めて聞いていたがすぐに一つの可能性に思い至る。俺は実物を見たことも聞いたこともないが、カカカッという音は時代劇などで聞いたことがあるような音、つまり馬の蹄の音だと思われるのだ。つまり、そこから連鎖的に、がたがたという音が一緒に聞こえてくるそれはおそらく、馬車ではないだろうか?

 だだっ広い草原の小高い丘のような場所になっているのでその手の音はよく響き、それなりの距離からでも聞こえるのだ。そのため、まだその影は見えない。しかし、丁字路を音の方に歩みを進めると、予想通り丘の先、道の中腹にこちらに向かって走ってくる一台の馬車らしき影が見えた。しかも、御者台にきっちりと人類と思しき影も確認できる。


「この世界にきて初の人類との邂逅か。ちょっと緊張するな」


 この世界が本物である可能性が見え始めてしまっているあたりから、この世界の住人との邂逅についてひそかに緊張していた。加えて、初めて見る馬車という存在により緊張が増しているのが手に取るように分かった。


 実は、馬車であると予想を建てた段階で、『ゲームの中』という可能性は大きく下がっていた。


 《クリエイティブライフ・オンライン》は、これといった時代設定、舞台設定はなかったものの、馬車が出てきたことはなかった。基本的に、現実の文化に追いついてはいないどころか遅れている節があるものの、魔法や魔力、魔石などのファンタジーな存在により、一部技術は現実に追いつくどころか超えている節があった。

 その中でも移動手段がその最たる例だ。恐らく、ゲームを快適にプレイするための措置でもあったのだろうが、各町にはちょっとしたテレポーターのような装置があったし、街道をただ移動するだけでも、馬車などの時代遅れのものではなく、あのゲーム内特有の技術であった魔導工学というものによって作られた、車風の何かがが存在し主流となっていた。


 そして、いくらアップデートがあったとはいえ、わざわざ時代を逆行させるとは思えない。仮にさせたとしても、イベントの報酬など、取得方法は限られていただろう。


 だからこそ、ここは《クリエイティブライフ・オンライン》ではないと判断できた。


 だがここで、ああ、異世界に来てしまった、どうしたら元の世界に帰れるだろうか――などと悲嘆にくれるわけにはいかない。ここが現実として存在しているのなら、生きることを考えなければならない。生きてさえいれば、悲嘆にくれることも帰還する方法を知ることもできる。優先順位を意識しなければならないのだ。もちろん冷静に考えているように見えるがそんなことはない。俺の思考は、現実だとわかった段階で、先の考えを出すだけで思考が止まっている(・・・・・・・・・)のだから。


「ひとまず、会話、情報だ。っていうか、日本語って通じるのか?」


 今更、言語についての疑問が沸き上がってきた。そもそも会話が通じなければ、文化が根本的に違う可能性のあるこの世界では、生活することすらままならない可能性もある。


「ええ……馬車やけに豪華に見える……」


 いろいろごちゃごちゃと考えているうちに少しばかり詳しく馬車が見える距離まで迫ってきていた。その馬車は、シンプルな木造でただ色を塗っただけ、とかそんなことはなく、どう見ても家紋などを示していそうなマークが書かれた扉に、少しばかり凝った意匠が散りばめられた外壁、唯一屋根はシンプルなものだったが、それゆえに洗練された雰囲気を漂わせていた。


 あと、馬が二頭いた。


「もしこれが貴族とかだと、うかつに話しかけるのはまずいのでは……?」


 そう。もしかしたら、あの馬車の中に凄腕の護衛とかがいてもおかしくはない見た目だったのだ。


「ついでに不敬罪なんかの法に触れる可能性もある……」


 そもそも、ここは道のど真ん中だ。その立ち位置も危ういことだって考えられた。

 ひとまず、端による。ここは一旦様子見だな。

 幸い、窓は布製のカーテンらしき物体でおおわれているだけのようだ。もしかしたら、揺れた拍子に仲が見えたりなんかするかもしれない。それで大丈夫そうだと確認できたときに話しかけるのがベストな気がする。まあ、その判断は勘なんだが。


 ただ、いづれにせよ、あの馬車の雰囲気や汚れ具合は、決して街に帰るといったものでは――貴族ならば最低でも一人や二人はついていそうな、護衛に外を走っているはずの騎士が見えないとしても――ない。なので馬車が来る方向とは反対にこの道をまっすぐに行けば街の一つや二つはあるはずなのだ。それさえわかれば、ここを見逃してもなんとかなる……はずだ。


 ただ静かに待つ。別に息を殺す必要などないはずなのに、なんとなく息を殺しながら待つ。


 パカラッ、パカラッ、ガタンガタン。


 馬車がすぐそこまで迫ってきた。ふと御者と目がある。

 すると御者は少し後ろを振り向いて二、三中にいるであろう人物と言葉を交わし、馬車を止めやがった。

 ゆっくりとカーテンが開いていく。


「や、突然すまないね。君は冒険者かな?」


 そこにいたのは実に気さくそうなおっさんだった。

 話しかけられて無言でいるのもどうかと思うので、無難に返事をする。もし、貴族関係でも問題がないように似非敬語で返しておく。ここまで来たらもう、腹をくくろう。貴族が相手だろうが貴重な情報源だ。


「はい。一応、私は冒険者ですが……申し訳ありませんが証明できるものはありません」


 ゲームの中では、プレイヤーキャラクターはそんな感じの設定だったはず。もちろんそれを証明できるものはない。ちなみに一人称は女でもおかしくないものを意識している。


「いや、冒険者だと分かればいい。積極的に魔物と戦おうとするような危険な仕事を自称する者がそういるとも思えないからね」


 はて、確かに危険な仕事だろうが自称する者がいないほどだろうか? 別に薬草的なものを採取するとか、安全なことはいくらでもありそうだが……。


「ちなみに拠点はギリオスかい?」


 おっと、全くわからん固有名詞が出てきたぞ。言葉の雰囲気から察するに、宿か街、国の名前だろうが、今回はどれだ?

 まあ、素直に答えるが。


「申し訳ありませんが、私は旅の冒険者ですのでギリオスではありません」


 これは別に何の考えもなく発言したわけではない。

 情報が少なすぎるため、無難な答えをしたのだ。

 

 まず、旅の者である、という点。これは格好からすればおかしなものだが、決して不自然すぎることはない。荷物はないが、それは冒険者ならではの言い訳、魔物に襲われた、でなんとかなるだろう。魔物の存在は会話の中で判明しているし、戦うと言っているので襲ってきてもおかしくはない。


 次に、この答え方であれば自然とギリオスというものに関係がないことをアピールできる。ここで知りませんと答えると、国の名前だった時に不審がられてしまうが、少なくともこの答ならこの場はしのげる。もちろんできる限り早い情報収集は必要だが。


「そうか、荷物はアイテムポーチの中かな?」


 おお? 早速、情報ゲットだ。きっとよくある道具を異次元的に収納できる存在だろう。この情報はでかい。あと装備にポーチっぽいものが付いていたことにも感謝ししておこう。


 ちなみに、俺の今の格好はゲーム内の装備そのままの見た目で、まず頭装備は髪飾りのみ。いろいろ効果の付与された一級品だ。そして、胴部分を守る胸当てタイプの鎧。へそあたりが露出しているのが実にゲームっぽい。防具とはいったい? 状態だが、魔法的何かで守られているのはなんとなく感覚が理解していた。そして腕を守るこてのような部分。肩口からひじを少し過ぎたあたりまではこての装備から伸びる鎖が巻き付いている。そこから先はゴツメのアームガードと、手の甲のあたりから武器としての爪が伸びた小手が混ざったような見た目の装備だ。これを両手につけている。そして腰回りは前面だけ短いスカートのような鎧で、途中から布に変わって靡いている。中には丈夫な謎の布でできたスパッツのような形の服を着ている。足は太ももの中腹から足全体を覆うとげとげしい鎧だ。各部位の鎧の名称なんざ知らないから全部『鎧』だ。通じればいいんだ。……まあ誰かに説明したことなんかないし予定もないけど。補足として、鎧はすべて西洋のタイプである。日本の甲冑ではない。


 その腰の部分に、装備のデザインの一部としてポーチが描かれていたのだ。ゲーム時代は当然使うどころか開きもしない完全な飾りだったが、今は言われてこっそり確認したが開くのだ。これならアイテムを取り出すときに、アイテムポーチとやらに偽装できるだろう。おまけに小物くらいなら本当に入れておける。


「旅の冒険者という事は、きっとこの先の街もあまり調べていないのではないかね?」

「そうですね。風任せってやつです」

「そうかそうか。ならば年寄りのおせっかいで忠告をしてあげよう」


 なんとこの正体不明のご老人、親切にも情報をくれるという。ありがたい。おっさんとか思ってすまん。


「この先には、ファンティア陛下の収める帝国首都ガランジールがあるんだがね、そこになんと、魔物の大群が向かっているそうなんだ。もちろん首都だからね、本来、想定されている量ならば都の騎士だけでも十分のはずが、今回はそれをはるかに上回る量なんだそうだ。実際私にもとてつもない砂煙が見えた……」


 ご老人がそこで言葉を切った。どうやらその時の記憶を思い出し身震いしているようだ。


「失礼。少しばかり思い出して身震いがした。さて、続きだが当然そこで陛下も都中の貴族に声をかけ私兵を出すように呼びかけたが、なんとあまりの規模に出し渋る連中がいたそうなんだ。もちろんこの情報は私の個人的な情報網で知ったことだから公にはなっていないがね」


 ふむ、それほどなら出し渋ることもあるのか。……あるのか? こういう政治関係はよくわからん。でも、首都を見捨てちゃうって相当なことがなければやらないのではないだろうか? ……ああ、つまり、その相当な状況なのか。


「陛下はそれ以外にも、冒険者ギルドにも呼びかけをしたが……正直芳しくない。君も冒険者ならわかるとは思うが冒険者という職業の者はその仕事柄、命に敏感だ。危険な魔物に向かっていくからこそ、引き際を見極めるのもうまいのだ。だからこそ、今回のような場合、ある程度は戦ってくれるだろうが、最後まで戦ってくれるものはそう多くはあるまい。帝都に実家でもあれば別だがそんなところに家があるものは冒険者を志そうとは思わないだろうからね。いたとしても少数派だ。街のみんなもそれを察してさっさと町を出て行ったよ。愛着があってもさすがに今回の規模はどうしようもない。かくいう私も、商会の荷物をアイテムバッグに入るだけ詰めて逃げ出してきたという訳さ。つまり何が言いたいかというとだね。この先は危険で行ってもあまりいいことはないよ? という事を伝えたいわけだ」


 なるほどなるほど。確かに今すぐにでも滅びかねない場所に行く理由は薄いな。でも、ちょっと気になるのもまた事実。ちなみに、魔物に襲われているなら助けなきゃ! とはならない。当り前だ。誰が好き好んで、ゲームのように動けるかもわからないのに、そんな危険地帯に割って入るというのか。あくまでも後ろの方から確認するだけである。まあ、ゲームのように動けたからと言って介入するかはわからないが。

 それにアイテムバッグか。どうも、ポーチ以外にも種類があるみたいだ。何がどのくらいあるのかわからないが、おそらく外見からの判断は難しいようだし、見極められなくても、自分が使うものだけわかっていればまあ、何とかなるだろう。


「なるほど。ありがとうございます。それはいい情報でした。私も冒険者ですので、軽く街と魔物の様子覗いてからどうするか決めたいと思います」


 その言葉にご老人は苦笑をこぼした。


「そうか。そうだね。冒険者とはそういうものだった。まあ、頑張りたまえ。ああ、そうだ。ここであったのも何かの縁。私の名前はアリグラウス・ロルロット。ティア帝国内で主に活動しているロット商会の代表を務めさせていただいているよ」


 今までも色々と情報をくれたが、国の名前まで自然に教えてくれるとは、実に親切なご老人――ロルロットさんだ。


「これはご丁寧に。私の名前はペーレイア。まあ、しがない冒険者です」

「ははは、そうか。そういうことにしておこう。では、私はこのまま進んだ先にある都市、グラングラムに向かうのだが、よければ私の商会を利用してくれ。まあ、割引なんかは申し訳ないが無いかもしんがね」


 そういってロルロットさんは少し先の分かれ道、俺が来た方向とは違う方向の道を指さした。

 にしてものロルロットさん、ちゃっかりしてんな。教えてくれた情報が正しければ少なくとも信用できる商人であることは確定する。もし街についてどこの馬の骨とも知れない商会を使うよりかは、信用できる人の商会を使いたくなるというのが心理というものだ。割引がないと、今言うのもまた、信用を得るやり方の一つだろう。誘われれば期待する者もいるが、それをここで先に断る。そのうえで『かもしれない』と可能性を匂わすのだ。あくまでも今は理由がないだけ、何か助けられれば割り引くくらいはする、という意思の表れだろう。つまり『何かあった時は助けてね』と言っているのだ。……たぶん。

 こういう時、大抵商人というやつらは言葉に裏を持たせる。だからこそおれも、少しばかりうがった見方をしてみた。まあ、そんなに深く考えないでもいいとは思うけど。

 商人との会話で痛い目を見るような話は多かった。ただでさえ知らない世界、適度に肩の力を抜きつつも、慎重になりすぎるくらいがちょうどいい。

 そもそも、俺の強さもわからないのにそんな話をするのか、という疑問は残るわけだが。


 ともかく初めのころは慌ててうまく頭が回っていなかったが、今の俺はなんだか妙に頭が冴えていた(・・・・・・・)


「なるほど、覚えておきます。それでは、いろいろと情報ありがとうございました。道中お気を付けください」

「いえ、私としても久方ぶりに有望な冒険者にあえて楽しくなりましたよ。それではお気をつけて」


 お互いにそういって別れを告げると、そのまま馬車は走っていった。


 にしてもこれは完全に『人』だったな。NPCではいくら人工知能を積んでいるといっても難しい会話だったのではないだろうか。

 そして。


「情報をくれたのはありがたかったが……ロルロットさんはなんで馬車を止めてまで俺に話しかけてきたんだ?」


 そんな小さな疑問を残して、この世界初の人との邂逅は終わった。




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