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未来鉄道   作者: 貴狭間高良紅
9/11

途中下車

ホームから階段を上り改札口に向かった。

麻樹は小型のトランクとショルダーバッグを抱えて息を切らせて漸く上がってきた。


「麻樹さん、大丈夫?荷物持とうか?」


勉がそう言ってくれたがバッグは財布とかスマホが入ってるから持たせれないし、かと言って

これ(コロ付きの小型トランク)を持って貰うわけにはいかないし……


「大丈夫よ!ありがとう!」と返事をしてキョロキョロと辺りを見渡してると丁度コインロッカーが見えたので使う事に決めた。


「ほら!ロッカーがあそこにあるでしょ?アレを使わせてもらうから!」


「分かったー!」


勉は返事をしてどんどん木造の駅舎から出ていく。


麻樹は百円を入れてロッカーを開け荷物を入れるが何処と無く違和感を感じ始めた。


「田舎とは云えな〜んかデザインがレトロなんだよね?ん~……レトロまで行かないか……でも古くさっ!www」


元々建築事務所に勤務しているので建物や施設等のデザインを気をつけてみている方だった。


(そう言えば、勉君が乗ってきた駅の自販機とか改札口とかも古い感じだったな……)そんな事を考えていると空腹が耐えられないのか勉が叫んでいる。


「麻樹さぁ〜ん!はょう!はょう!」


「ハイハイ!」と足早に無人の改札口を抜け勉の元に掛けて行った。





「さて……」と振り返りながら何の気無しに駅舎を見ると先程乗ってきた電車がまだ止まっていた。(結構時間経ったけどまだ通過して無いのかな?)


駅前に出るとバスターミナルと民家の様な何を売ってるのか解らない商店がポツリポツリ。

線路沿いには二階建て木造の建物が軒を連ねている。


ターミナルと言っても停留所が二つしか並んで無いので交通便は悪そうだ。因みにコンビニエンスストアは見当たらない。

原色豊かな都会とは思いっきり掛け離れた世界だった。


「何処かコンビニ有ればいいんだけど、この様子じゃ無さそうだよね……」麻樹はどうしたもんかと溜息混じりに呟いた。


「麻樹さ~ん!こっちにお店ありそうだよ!」


勉の指差す方向にはアーケードが有る。シャッターが降りている所もチラホラ。


「あ、そうだ、つとむ君、ちょっと家にメールするから待っててくれるかな?」


変事を待たずにバッグからスマホを出してメール画面を起動する。

家からの返信メールが来ていた。

《 気を付けてお帰り。今貴方の部屋の準備で忙しいからまた後で》


(素っ気ないなぁ(笑)兎も角メールは繋がってて良かった。)


《 今七本塚って所で降りてご飯食べるよ。》と簡単に要点だけ打って返信した。


アーケードの中を歩きながら何か食べ物が買えるか食事が出来る場所を探す。(歩きスマホはいけません!)

人は疎らで下を見ながら歩いてもぶつかるようなことは無い。


10分程アーケードの中を歩いてみては見たものの食べ物を売ってる店は見つからない。食事処はある事はあるが、寿司屋に中華料理屋、焼肉屋と昼過ぎにはヘヴィー過ぎる店ばかりである。


「あ!ラーメン屋だ!ここにしよ〜!腹減ってもう歩ん……」


勉は空腹が限界だったのかここぞとばかりに駆け込んで行った。


寿司やら焼肉やらよりはまだマシなので麻樹もそれに続き店内に入る。



店内は十畳程で、入り口に面してキッチン越しにカウンター席、真ん中の列と右側に4人テーブルが四つ並んでいる。


麻樹達は真ん中の出入りに近いテーブルに向かい合わせに座って左側の壁に掛けてあるメニューを眺めた。

(え~!かなり安いじゃん!三百五十円て……やっていけるの〜?)等と思っていると


「僕は塩ラーメンがいい!」

(決めるの早いなぁ~……)

「じゃ、私は普通に醤油しよう。」


「すいませ~ん」と店のオバチャンを呼び、注文して暫くすると注文したラーメンが食欲を唆る香りと共に運ばれて来た。


醤油ラーメンはナルトとネギとチャーシューと海苔が乗っている。(うん、一般的だ。海苔は……一般的なのかな?私的にはアリだ!つとむ君のは……)と

勉の頼んだラーメンをちら見すると白山やらうずらの卵などの具材が見えた。(あっちも美味しそうだな……)


「いただきま〜す!」


勉は来るや否やパッとテーブルの端に置かれている箸立から割り箸を取り、既にズルズル食べ始めた。


(私も伸びる前に食べよっと……)麻樹も箸に手を掛け小さく「頂きます」と言って食べ始めた。




「ふぅ~!ごちそうさまでした!暑い!おなかいっぱい!」


勉は給水器に水を取りに行った。

私はと言うと、まだ食べてる途中だった。極度の猫舌で熱いのが苦手なのだ。(流石男の子と言うべきか、食べるの早いなぁ…ふぅ〜!ふぅ~!)


五月の半ばとは云え、店内はかなり暑いのだがまだクーラーも扇風機もつけていなかった。


ーーー五分後ーーー

麻樹は漸く食べ終わった。

(熱かったよぉ〜……美味しかったけど。)

「ごちそうさま」


「麻樹さんは食べるの遅いねぇ(笑)」


天井にほど無く近い場所に置かれたテレビを観ていた勉が言った。


「猫舌だから熱いの苦手なんだよーだ!」


冗談と解るようにわざと怒ったような口調で麻樹は返した。(ここまで打ち解けれるとは思って無かったな……旅は道連れとはよく言ったもんだ。)


そろそろ出ようとなり、2人分を出そうとしたが勉も心得て居るらしくここは普通に割り勘で勘定する事になった。


勉が支払いを終え麻樹が五百円玉を出して払って居ると


「お客さ~ん……何の冗談です〜?メダルとか出さないで下さいよ~……」


「え?これ五百円玉ですけど?!」


「いやいや、五百円玉って……何ですかそれ?見たことないですよ。普通五百円って言ったら札でしょ~?ちゃんと払って下さいよ!」


「ええええええええええええええええええええええええ!」(なん……だ……と!?(SEドッキーン))





麻樹ピンチ。





麻樹食い逃げ( 'ω')ファァァァァァァァア!!!!!

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