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未来鉄道   作者: 貴狭間高良紅
7/11

共同作業

電車のボックス席、麻樹と勉は会話をしていないが緊張感はない。


一通り喋りたい事を話し切ったのか、勉は横に置いたリュックサックの中からスマホ……にしては厚みがある物を取り出して

さっきから真剣に傾けたり叩いたりして眺めている。


(子供は興味を持つのも早いけど冷めるのも早いからなぁ…)


時々「おっ!」とか「あ~……」とか独り言を言いながら喜んだり残念がったりしていた。。


最初はその様子を余り気にすること無くボーッと見ていた麻樹だったが、余りにも真剣にやっていたので「何やってるの?それスマホでしょ?」と聞いたが返って来た言葉は


「ちょっと待って!今大事な所だから!」


と言われてしまった。


なんだかなぁ……と数分待っても答えてくれそうに無かったので、本でも読むかとバッグを漁ってたら


「あ〜~っ……!」

と溜息混じりの独り言を呟いて此方に顔を向けた。


「これゲームじゃよ!」


「何のゲーム?P○Vitaとか?電源無さそうだけど……」


「びーた?びーたって何か知らんけどなんで電源要るん?」と言いながらソレを差し出してきた。


手に取って見せてもらうと

1ミリ程の玉があり箱庭アスレチックが整形がしてあった。


「これボートの所が難しゅうて玉が直ぐ落ちちゃうんよ……」等と説明してくれた。


試しにやってみると普通に難しい……

池の所まで玉を動かしても気付くとボートが他所に行ってる。

ゆっくり傾けたり揺すったりしてみたが、進めたい方向に揺すると玉と共にボートも移動して進んだ先にはボートが居なくなってる。


「む、難しい……これゴールまで行ける人いるの?」


「ゴール迄は無理だけど運が良きゃええ所までは行くよ!」


何時間掛かっても私には出来そうに無いと小さなアスレチックを見ながら思った。


「ちょっと貸してみい!」


ひょいっと取って「こうやるんよ!」とお手本を見せてくれる。


舌舐めずりをしながら真剣に揺すったり叩いたり動かす勉。


「ここはこうするんよ!」


ゲームの裏側を少し叩いて玉を横にさせながら「近道じゃ!」と得意気に笑った。


「なん……だ……と!?それずっるーぃ!」


「出来ん所は飛ばした方が進めるけぇwww」


確かにそれはそうだが、それをやってれば全てショートカットでゴール迄行けそうと麻樹は思った。

しかし到底そのショートカットする技術も私には出来そうに無かった。


「この角を裏側から叩くんじゃ」とか「ソコはそんなに急に傾けたらいけん!」とか小学生から容赦ないダメ出しが入る。


「あー」とか「おお!」とか言いながら暫く時間を過ごした。



どれ位経っただろうか。

謎のアスレチックゲームの特訓の後、二人はすっかり会話が出来る様になっていた。


(仕事以外での共同作業って久しぶりだなぁ……いや、あれは作業と言うより私の特訓?殆ど私がやってたからなぁ……)等と仕事を始めてから久しぶりに感じる、懐かしさの様な感覚を感じてる時、ポツリポツリと勉は自分の境遇を語り出した。




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