1stコンタクト
どこかレトロな自販機、見たことのない切符。
越ヶ谷勉と言う少年と出会い
会話が続かず一人ツッコミ大会になる麻樹。
雲の動きの様に気付かないまま何かが少しづつズレて行く現状
彼の名は越ヶ谷勉と言った。
なんでも岡山の金川駅に行きたいらしい。
「??おかやまのかながわ?????」
麻樹は頭の中でクエスチョンマークが幾つも浮かんでいた。
それもそうだ。
文字で見せられたならば
例えその地を知らなくても
「神奈川」と「金川」の区別位は着くが
ましてや土地勘の無い麻樹は聴いただけなので区別が付かなかった。
そして区別の発想すらもなかった。
「僕~、岡山に行くならこのホームで合ってるけど、神奈川に行くなら反対方向だよ!(*`・ω・´)」
「いや、岡山県にある金川駅にいきたいんよ」
「え?神奈川駅?そんなのあったっけ?と言うか神奈川県じゃなくて駅??」
咄嗟にスマホでGo○gle先生で検索するが
Error 404 Not found
このポンコツめ……と軽く罵った後
「ちょっと切符見せてくれるかな?」
と勉に言った。
「これ!」
と手渡された切符は
厚紙で出来た長方形で大きく「金川」と印刷されていた。
あ〜……神奈川じゃ無くて金川と言う地名なのね……と麻樹はここで気付いた。
「さっきも言ったように岡山方面に行くならこっちで合ってるんだけど、金川っていう場所は私には分からないから車掌さんに聞いてみよう?」
「うん!」
元気よく勉は頷いた。
二人でホームに上がり先程の車掌さんに行き方を聞いてみた所
「ええ!こちらの列車で岡山迄乗って頂いて、そこから津山線に乗り換えて金川まで行けますよ!」
おお……何時も新幹線だったから完全にスルーしてたけど、そうだ……乗り換え案内で瀬戸内線とか津山線とか聴いたことあるな……と麻樹は思い出した。
「因みにその金川迄此処からどの位かかるんですか?」
麻樹は率直に思った事を聞いてみた。
ついでに現在、自分がどの辺に居るのか確認と言う若干の打算もあったがwww
「そうですねぇ~……岡山迄まだかなり手前ですし、乗り換えてもそこから数時間かかるので……六時間位ですかねぇ…………あ!この列車は間も無く発車致しますよ!」
「六時間か…………」
勉が少しぐったりした口調で呟いたのが聴こえた。
車両のボックス席。
あのやり取りの後、程無くして列車は発車した。
向かいには小さいリュックサックを横に置いて
流れる車窓を虚ろな眼をして眺めている勉が座っている。
「………………」
「………………」
席は他にも空いている。
と言うか、この車両には私達含めて五人位しか座っていない。
(なにこれ?なんでここ座るの?しかも何故無言?この空気どうすればいいんだろ?)
悶々と考えてる中、取り敢えず何か話そうと名前を聞いて見ることにした。
そう、実は私はコミュ障だ。www
「私は麻樹って言うんだけど、君の名は?」
(いか〜ん!自分で言った言葉でこの間みた映画を思い出してしまった……と言うかこんな幼い少年に「君の名は?」とか……無いわー……もう少し相応しい聴き方合ったよね……)
等と心の中で一人突っ込みをしつつ耳をすましていると
小さな声で
「つとむ……越ヶ谷勉……」
と聴こえた。
「そっか!つとむ君ね!」
(そう言えば小さい頃何かそんな感じの唄あったなぁ……)
「で、つとむ君は金川まで何しに行くのかな?」
(しまった~!補導員かよ~!これじゃぁ只の尋問だよ〜……)
「いや、言いたくなかったら言わなくても良いからね〜!((震え声))」
慌てて言葉を繋ぐ麻樹
「んー……じいちゃんの家があるんよ。」
(。'-')(。,_,)ウンウンと内心ホッとしながら耳を傾ける。
耳を傾ける………
「……………………」
「…………………………」
耳を傾けたが一向にその後の言葉は出てこなかった。
(何コレ……会話続かない〜……泣私は貝になりたい……)
これが越ヶ谷勉とのファーストコンタクトであった。
ギャグではないです(笑)