世間って狭い
ちょっと長めです。
構成下手ですいません
この海上都市衛浜市は東京都に属している。
国連が制定したの特定異種人権保護憲章に基づき作られた人工島だ。
日本国内には他に2つ沖縄・北海道にそれぞれ同じ様に隔離された島が存在する。
今目の前にある学校、『私立衛浜第一』は国内で唯一全ての人種に同様のカリキュラムが組まれて
いる学校だ。公立校は通常各種族にあわせカリキュラムが組まれている、身体能力の差など理由は様々
だがクラス単位での囲いというわけだ。
国のお偉いさんはこれ以上、ハイブリッドを増やしたくないんだと思う。
異分子嫌悪はそのまま【いじめ】なんかに繋がっていくから区別をしていくなんて建前だ。
いくら保護憲章があったところでキャリア=原種から人間を遠ざけようと思うのはしょうがない。
なんだかんだと考え事をしていたら、職員用の駐車場に到着していた。
そのまま瑞樹から簡単に校内の案内を受けていると、学長室に到着した。
「学長、失礼します」
「どうぞ」
「伊万里九朗をお連れしました」
学長室というくらいだから、どこの学校にもあるようなちょっと高そうなソファ
とか本棚とか置いてあるのかと思ったが意外に普通のオフィスみたいな感じで、
格式張った感じはしない。加賀見の性格からして如何にもな感じの場所を
好むことはないか。
「入ってくれ、ずいぶん遅かったから心配したよ」
「役所と警察署に顔を出して来た。一応治安維持に関する部署だからな。」
「で、自分の部署の部屋が無くてイライラしていたと」
まるで見てきたような良いように俺はちょっとイラッとしたがそんまことは
どうでもいいと言いたげな加賀見は話を進める、
「それはいい、これから世話になるよおっさん」
「学内では【学長】と呼んでくれ、【おっさん】とか【叔父さん】じゃ流石に
体裁が悪い」
「了解」
俺達が勝手に会話を始めた為、瑞樹は完全に置いてけぼりになっている、どうした
もんかと二人の間をキョロキョロと視線を行ったり来たりさせていた。
「あのぉ、学長は伊万里君と面識がおありなんですか」
どうやら、瑞樹は血縁関係者というのは知らなかったらしい。加賀見もしまったと
いった感じに苦笑している
「学長殿は母方の叔父だよ、みずきち」
「ちょっ!だからみずきちって」
「君達の方こそずいぶん仲が良いんだね」
瑞樹が俺の家庭教師をしていたことを加賀見は知ら無かったようで、なんだか妙な
空間ができあがっていた。
「私は九くんの家庭教師をしていましたので」
「母さんが遅い時は料理作ってもらったりしてたな」
「そうか、世間は狭いな.......じゃあ九朗の出生なんかは」
「聞いています、特別なんですよね九くんは」
ハイブリッドは普通人間とキャリアの間か、ハイブリッド同士でも同種キャリアの間
でしか子供を作ることは出来ない。なんでそうなのかは最近研究が進みだいぶ解明され
てきた、が今はどうでもいい
「こいつがキメラだって事は生徒会と風紀班には伝えてある。じゃなきゃ仕事に
ならないだろうからな」
キメラはハイブリッドの異種間で生まれる希少種なのだ、多種間では通常は死産となるが
俺の家系は特殊でキメラが至って普通に生まれてくる家系だ、むしろキメラしかいない。
どのキャリアの遺伝を受けているかなんて今更調べるのが馬鹿馬鹿しいが俺には
少なくとも5種類の遺伝形質が出ている。
「その辺の話は後でゆっくりして貰って良いか学長、俺はとりあえず荷物をどうにか
したいのと面倒くさい挨拶回りとやらを終らせたいんだ」
「了解した。荷物はとりあえずこの部屋に置いていけ、クラスに顔を出して転校生
らしく挨拶でもしてこい、授業はもう間に合わないから明日からになるな、久々利
先生宜しくお願いします。」
「かしこまりました。行きましょうか九くん」
「あっ、久々利先生」
「はい?」
「教室で九朗の呼び方は気をつけて下さい」
会話に違和感がなかったのですっかり忘れていた、プライベートな状況とは区別する必要がある。
恥ずかしそうにちょっとだけ赤くなった瑞樹が可愛かった、こういうところは相変わらずだ。
俺もクラスメイトの前では気を付けようと心に誓うのであった。
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