稽古をつけよう
手帳を見せたところで、リーダー格が走ってくる、なかなか戻らず構えたままの部下を
見に来ただけというとこだろうと思いつつ、
「何をしている」
手帳を確認した連中はただ状況が飲み込めていないといった顔をしたまま固まっていた。
「君が、彼らのリーダーでいいのかな、ちょっとだけ質問をさせてくれないか」
「ん?質問だと、かまわん」
「まず君の名前とこの集団は何?」
素性を知らないことに怪訝な表情を浮かべつつ、彼は部下に視線を向けるが状況が掴めて
いない用で混乱していると判断したようだ。
「我々のことを知らないのか、まぁいい私は衛浜第一校、風紀委員会・治安維持対策班、班長 渚京だ」
「対混雑種特殊治安部部長兼第一機動隊隊長 伊万里九朗だ。治安部事務所がすぐそこにあるんで、
久々利先生から許可をもらってこっちにきたんだが、見ての通りだ」
「IDか何かあるなら確認をさせてくれないか、今日付で特治に人が来るのは聞いているが、一応な」
「了解した、これでいいか?」
九朗は内ポケットから手帳を取り出して見せた。
「すまなかった、裏門の通行に関しては久々利先生の名前が出てくるのであれば明日にでも
確認しよう。今日のところは正門から行ってくれないだろうか」
面倒だと顔にははっきりと出ていたようで周りにいた連中の何人かは今だに構えを解くことは
無かった。さすがにこの扱いは無いと思ったのか、威嚇行為をしてくる相手へ低く声をかけ、
睨み付けてみる
「稽古を付ければいいのか」
「やめないか、目的を等しくする組織が対立など無意味だ」
「しかし・・」
「班長、特治なんて必要無いって事を教えてあげた方がいいですよ。手合わせでもしてさっさと
本土へ帰って貰いましょう」
「橋本、やめないか」
渚の制止を聞かず、橋本と呼ばれた生徒は刺又を突き出して来る、鎮圧用であって得物は得物
手加減はしない
「手合わせ希望はまとめてかかってこい」
囲む様に構えていた何人かは、橋本に釣られ一斉に刺又や警棒を向けて来る、
最初に間合いに届いた橋本の刺又を右へ払い、更に足を払いで転倒させるこれで右側に居た連中の
進路は寸断
この武器の嫌な点で長柄にも関わらず、攻撃が点では無く面になる事だ、全方位から一斉に来ら
れれば対処仕切れ無くなる。スペースを確保しながら動かなければいけない
左に2人、警棒持ちと刺又持ちがそれぞれ。
先に刺又持ちを無力化する為一気に踏み込む、前に出ている左手と柄の間に手を差し入れつつ
得物をこちらのものにする。そのまま強引に柄尻を相手へ押込み体制を崩して、手が離れた所で
鳩尾を一突きで一丁あがり
警棒持ちへは向き直る為回転しながら膝裏へ柄を叩き込んで転倒させて無力化。
最後に起き上がろうとしている、橋本の首を刺又の先端で抑え込む。
「この程度で帰れとかないな、練度が低過ぎる。やっぱり稽古付けようか?
渚君だっけ?明日にでも話をしないか、聞いておきたい事は多いし情報共有が必要なようだ」
「うちの連中がすまない、明日にでもキチンと謝罪に伺うとするよ。」
裏門の前に一台の車が止まる、見間違いをしていなければ瑞樹の所有する車だ、助手席から
舞が降りてきたのを確認した数名の風紀委員が駆け寄っていく、
「先生や深山さんが呼んでいるようだね、明日事務所に伺うのでその時に」
「了解した。」
その場にいた風紀班メンバーの紹介があったが一人名前に聞き覚えがある。悪い意味での聞き覚え
があるパターンていうのはよろしくない
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