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序幕

 某県某市の寂れた田舎。人が寄り付かないような場所に一つの校舎はあった。薄気味悪い古びた校舎はボロボロと崩れかけていて鉄筋が見えている。蔦は校舎の屋上を目指して伸びている。日も沈み、月が夜空に昇った頃。一人の少女、柏井(かしわい)はその薄気味悪い校舎の前に立ち、それをじっと見上げた。ここが噂の、と小さく呟くと、彼女は少し怯えたように半歩後退った。しかし彼女は首を振って再び一歩踏み出した。


「七不思議を制覇する、とか大口叩いたからには行かないと、格好つかない!」


 拳を握り、凛々しい目つきで校舎を睨み付ける。しかし手足は怯えを隠しきれていないようで、カタカタと小刻みに震えている。口は水分を失ってカラカラになっていた。

 制服のスカートをひらりと揺らしてもう一歩踏み出す。いざというときには武器にする予定の学校鞄を抱き締める。怖くない怖くない、とまるで呪詛のように呟きながら柏井は開け広げられた大きなガラス戸の中に足を踏み入れた。

 埃の古臭い匂いが柏井の鼻をくすぐる。彼女は一つくしゃみをした。立ち並ぶ下駄箱はどれも埃は被っており、何年も使われていないことはよくわかる。

 柏井はしんと静かな廊下を歩き始めた。七つの奇妙な不思議を探すため、震える頼りない足をゆっくり進め始めた。

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