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見張り番

 どうやら僕がいたのはクラム平原というけっこう危険な場所だったらしい。

 馬車に乗せてもらえて命拾いしたようだ。

 最初に会った二人はアーサーとマーズという名前の冒険者で護衛として雇われているそうだ。

 馬車の中にはもう一人、マイルという名の商人がいた。

 そうして、3人とメルギルという町まで同行することになった。


 アーサーはくすんだ金髪に彫の深い顔立ちをしている男性で、見た目だけなら20代後半に見える。

 しかし、話し方や仕草からもう少し若い印象を受ける。

 カ〇リーメ〇トをあげるとリスのように何度も小さくかじりながら食べていた。

 食べかすがこぼれてちょっと汚い。


 マーズはひょろ長い感じの身体が特徴の男性で、アーサーより若く見える。

 馬車の御者をしている。

 魔法をそこそこ使えるそうで、水を生成しているところを真近で見ることができた。

 時間があれば魔法についていろいろ聞いてみたい。

 だけど寡黙なタイプのようで、まだ2,3回しかしゃべっていない。


 マイルは40前後の男性の商人で、ややぽっちゃりとした見た目から人の良さそうな雰囲気を出している。


 ちなみに魔法についてだが、僕は魔法関連のスキルはとっていない。

 なぜなら、魔法関連のスキルは魔力増加や詠唱短縮など魔法を補助するスキルしかなく、魔法を習得するスキルは存在しなかった。

 魔法を習得するには書物や人から教わるしかないのだ。

 逆にいうと魔法はスキルが無くても習得することができるのである。




 半日ほど馬車に乗っていると平原を抜け、まばらに木が生えた林の中の道に入った。

 そこでちょうど日が暮れたため夜営することになった。

 僕が何も考えずにテントや寝袋をアイテムボックスから取り出すと、アーサーがものすごい驚いていた。

 アイテムボックスというのはかなり珍しいスキルであるらしい。

 あ、そういえばレアスキルって書いてあった。

 なかなか便利なスキルなので商人や貴族が大金で雇おうとするかもしれないし、面倒事に巻き込まれるかもしれないので人前では使わない方がいいと忠告された。

 収納袋という真道具があるらしいのでそれを使っている振りをすればいいと教わった。(アイテムボックスより容量が少ないし、使用するたびに魔力を込める必要があるものらしい)


 夜は二人づつ交代で見張りをすることになった。

 くじで順番を決めると、マーズとマイルが先に眠ることになり、僕とアーサーが先に見張りをすることになった。

 話を聞くとアーサーは気配察知がLv5で100m以内の敵の気配を察知することができるらしい。

 あれ、じゃあ僕することないんじゃない?

 話し相手でもするしかないかな。


 ちょっと肌寒くなってきたから、ポットとバッテリーでお湯を沸かしホットコーヒーを作ってアーサーに渡した。

 案の定ちびちびと飲んでいる。

「温かい飲み物はありがたいのだけれど、なんでこんなに苦いんだ?」

 砂糖とフレッシュも入れてやったのに、お子様な奴め。


 見張りはすることが無くて暇なので、アーサーに魔獣や冒険者の仕事について質問した。

 冒険者はやっぱり危険の割に実入りの少ない仕事らしい。でも男は冒険ってものにあこがれてしまうんだよなぁ。

 アーサーからは家族について質問されたので、両親が小さい頃に離婚し祖母の家で育てられ、18歳のころに一人暮らしを始めたと言ったら、複雑な表情をしていた。


(18歳? 15歳ぐらいに見えるのだが…)


 あ、そうだ!今のうちに神様クエストの確認をしておこう。


 クエスト№1

 何でもいいので魔獣を一匹討伐しましょう。

 ちゃんと殺さないとね、スプレーで追い払うだけじゃダメ~。

 報酬:回復ポージョン1個


 なんか余計なことが書かれていて腹が立つ。

 ただ、これはすぐにできそうだ。ここの林はクラム平原とは違い初級冒険者レベルの場所であまり強い魔獣はいないらしい。

 明日の朝、時間があれば討伐できるかもしれない。少し頼んでみようか。


「アーサーさん、私明日の朝、魔獣を一匹討伐したいのですが、少しだけ時間を取ることはできませんか?」

「ん、時間なら大丈夫だとおもうぞ。今日は馬をかなり走らせたからな、昼ぐらいまで休ませるつもりなんだ。

 でもどうして急に魔獣を討伐しようと思ったんだ?」

「え~と、その、実は私今まで一度も魔獣を討伐したことが無くて…

 この機会に初討伐でもしようと思って」


「よく今まで生き延びてこれたな…」


 う、また憐れむような視線を向けられてる。

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