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クエスト完了

 ラーガの討伐に行ってしまった村の悪ガキ3人を追うことになった僕は一人じゃ不安だったので、エアリーに付いて来てもらうことにした。3人での瞬間移動だと最大距離を移動した後、次にスキルを使えるまでに時間がかかってしまうので執事のアンディーさんには留守番していてもらう。


 さて、まずは3人に追いつくことができた場合を考えよう。ネリア曰く説得とかしても反発するタイプらしいので、追いついたら問答無用で拘束することにする。これにはエアリーがとても役に立つ。この娘の恐ろしいところは200グラムぐらいのお皿や石があれば百発百中で人の意識を刈り取れるところだ。投擲スキルってそんな便利なものだったっけ?

 スキルの習得の有無やレベルの上がりやすさは人によって違い、好き嫌いや向き不向きによる影響が大きい。エアリーにとっては投擲スキルは天性のスキルなのだろう。

 エアリーには邪魔者を排除するのに自分から近づくという発想は無く、何でも投げつけて解決するタイプなんだきっと。


 次にラーガに遭遇した場合を考えよう。倒さなくてもいいなら方法はいくらでもある。

 異世界にやって来るまでの一週間、僕はいろいろと工作していた。その一つに目潰玉がある。

 用意するものは唐辛子、粉山椒、石灰。これを卵の殻に詰め、吉野紙で封をすると、忍者も使ったと言われる催涙兵器の完成である。

 これをエアリーに渡しておく。エアリーに渡しておけば、僕のような素人が作ったものでも効果があるはず。


 実際予想以上にあっけなく撃退できてしまった。異世界の魔獣ってちょっとデリケートすぎないか?

 それともエアリーがラーガの眼にジャストミートさせたのが良かったのかもしれない。



 いや~今回はかなり怖かった。一度知覚されると数百m離れても見つかってしまうと聞かされた時は引き受けたことをちょっと後悔した。だって僕500mしか移動できないし…

 逃げの一手が通用しないなら作戦の失敗は許されない。

 だけど、作戦立案者のエアリーは自信満々である。(ちなみに僕は移動と便利グッツ要員ね)

 エアリーもラーガについては執事さんから教えてもらった知識しかないくせにどうやったらそんなに自信を持てるのだろう?

 しかも、その作戦もやたら大雑把で、ラーガに遭遇してしまったら目と鼻を潰し、回復する前に隠れてやり過ごすという単純すぎるものだった。

 うまくいくのだろうか………

 不安だけど早く行かなくては追いつけない。

 緊張しながら追いかけたが、思うように追いつけず、とうとうラーガのいる薬草の群生地の近くまで来てしまった。

 するとグオオオオオオ~~~~ンというものすごい音の遠吠えが聞こえてきた。

 恐怖で固まる僕の隣でニヤリと笑うエアリー

「うふふ、先に居場所を教えてくれるなんてラッキーだわ」

 まっすぐこちらを目指してくるラーガ。(悪ガキ3人を追っているところまでは見えない)

「ちょうどいいわ。ここで待ち伏せしましょ。トモミ、何か注意を引くようなものは持ってないかしら?」

 エアリーさんが頼もしすぎる

「持ってるけど何に使うの?」

「足を止めてもらうのよ。その間にこの目潰玉とかいうものを食らわせてあげるわ」

 注意を引くものか~目覚まし時計でいけるかな?


 だけど、使う前に3人は薙ぎ払われてしまった。大丈夫かな?

 どうもラーガはお怒りの様子。僕らに気付かずにあっさりと目潰玉を食らっていた。ついでに目覚まし時計も放り投げておいた。

 あとはラーガが回復する前に悪ガキ3人を助け出し、先に見つけておいた隠れやすい木の上に隠れて精神力が回復するまでやり過ごすだけだ。3人とも全身を強く打ちつけたような怪我をしているが命に別状はなかった。回復薬を渡したので痛みも少しは和らぐだろう。


 一方、ラーガは離れた場所にあったジリリリリ と鳴り続ける目覚ましを粉々に壊した後、獲物を完全に見失ったことに気付いた。しばらく暴れた後、元いた方向へ帰っていった。

 目覚まし時計を失った僕は朝に自力で起きる手段を失った。



 村に戻った次の日、街に帰ると伝えると村人たちから手土産をいっぱいもらい、3人の両親からは何度もお礼を言われた。

 その悪ガキ3人はというと今回のことでかなり反省したようだが「いつかトモミさんやエアリーさんのような冒険者になりたい」と宣言していた。冒険者への憧れは高まってしまったらしい。運の良さと多少のインチキでうまくいっただけなんだけど、まあいいか。


 ネリアはというと僕に抱き付いて離れない。大分仲良くなったのにもうお別れすることになったからなぁ。遊び相手も少ないらしいし寂しいのだろう。

「トモミお姉ちゃん、もっとゆっくりできないの?」

「ごめんね、ネリアちゃん。私もゆっくりとしていきたいのだけど………」


 エアリーと執事さんがもうすでにさっさと歩き始めてるんだ…

 エアリーはマイペースで飽きっぽいのだ。



 クエスト№5 クリア済み

 ネリアのお願いを聞いてあげよう

 報酬:魔道書の写し1枚


 アイテムボックスには材質不明の紙が1枚入っていた。書かれている文字は日本語ではないけど、意味は理解することができた。言語理解って感じの転生特典どろうか? あの神様もこういうところはサービスいいなぁ。

 さて、書かれている内容だが、上から下まで詩のような文章が続いているだけだ。


 この美しき大地に数多あまた存在する聖霊よ  とか

 母なる海を治めたるは龍神にして暗黒の王たる   とか

 その翼は絹よりも滑らかで鋼鉄よりも固い     とか

 青い月に現れし混沌の涙


 こんな文章がずっとつづく

 意味は汲み取れるが何を言っているのかさっぱりわからない。

 一通り上から下まで読んだところで僕はめんどくさくなった。ついでに魔術への興味もごそっと減ってしまった。

 誰かに教わったほうが絶対に楽だ!


 そういえば次のクエストはなんだろ?


 クエスト№6

 そろそろ剣術レベルを上げるべき(目標レベル5)

 報酬:魔道書の写し1枚(a-2)


 また魔道書の写しかよ! あんまり欲しいと思わないな~

 しかも剣術レベルか~ 一つも上がってないんだよな。気が乗らない…


 ん? ていうか神様、クエストの内容僕の状況見ながら適当に考えているでしょ!


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