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ネリアのお願い

 冒険者としての初めての仕事はエアリーたちのおかげで何の苦労もせずにすんだ。

 戦闘に参加することもなく、アンディーさんが剥ぎ取った素材をアイテムボックスに詰め込んでいくだけの作業。ちょっと歩き疲れたが、それぐらいである。


 結局、今日はゴブリンを18匹にイノシシみたいな魔獣3匹を狩ることができた。やっぱりアイテムボックスも途中から入りきらなくなったため、肉は捨てて魔石と希少な素材のみ剥ぎ取った。まあ実際に狩ったり剥ぎ取ったりしたのはこの2人なのだが。

 執事のアンディーさんが軽く今日の成果がいくら位になるのか計算してくれた。イノシシみたいな魔獣はボアードと呼ばれるDランクの魔獣でゴブリン5匹分の金額になりそうだ。合計すると1万カルフになった。冒険者は割に合わないと思いきや、こんなにも楽して儲かる仕事だったなんて知らなかった。

 よし! エアリーたちとはこれからもパーティーを組もう。僕とエアリーならトップを狙えるし、上級冒険者も夢じゃないぜ!



 休憩中、久しぶりにステータス画面から神様クエストを確認してみると、いつの間にかクエスト№3とクエスト№4をクリアしていた。神様はこの神様クエストで僕に何かをさせたいようだが、現時点では目的は不明である。

 クエスト№3 クリア済み

 魔獣を20匹討伐しよう

 報酬:銀貨10枚


 クエスト№4 クリア済み

 Dランクの魔獣を1匹討伐しよう

 報酬:銀貨10枚


 あれ? おかしいな…僕自身は今日一度も魔獣を討伐していない。もしかしたら、パーティー登録したら、パーティーの討伐数も含んでくれるのかもしれない。これはますますエアリーとパーティーを続けたくなってきたぞ。

 続いて下を読むと、


 クエスト№5

 ネリアのお願いを聞いてあげよう

 報酬:魔道書の写し1枚


 ネリアって誰だ? 聞き覚えが無い。でも、魔道書の写しというのは気になる。今後ネリアという名前には注意しておこう。


 日も傾き始めたので、今日は森の近くにある村に泊まることになった。その村は人口100人に満たない小さな村だが魔獣の出る森のすぐ近くにあるためか、丈夫な柵で囲まれている。この村には宿が無いため、部屋が余っている家に泊めてもらった。で、この家の10才になる一人娘の名前がネリアだった。

 あっさり見つかりすぎ…


 僕は優しいお姉さんを演じてネリアを仲良くなることから始めた。途中、ネリアにあやとりを教えていると興味を持ったのかエアリーがやってきて3人で遊び始め、3人でできるババ抜きで夜遅くまで遊んだ。僕は半分の確率で負けた。おかしい………。


 翌朝、忘れていた目的を思い出し、ネリアに困っていることや悩み事とかを聞いてみた。

 すぐに困ることではないのだが、村では最近薬の蓄えが減ってきているらしい。なんでも村から半日ほど歩いた場所に材料となる薬草の群生地があるのだが、1年前にその近くにラーガと呼ばれる体調4mもあるCランクの魔獣が住みつき、1年間そこから離れようとしないらしい。このラーガという魔獣、本来は一か所にとどまらず、頻繁に移動を繰り返す魔獣のため村の人たちもギルドに依頼は出さなかったらしい。しかし、予想に反し1年間も居座ったため薬草を取に行くことができず、町から高い薬を買わなくてはいけない状況らしい。

 確かに困った状況だろうが、ネリアに悩んでいる様子はない。これはネリアの願いになるのだろうか?

 すると、外から誰かが「大変だー!」と叫ぶ声が聞こえた。


「どうした! 何があった?」

「大変なんだ。今朝、トムたちガキども3人が薬草の群生地に向かったらしい」

「な、なんだと! 本当か!」

「ああ、村はずれに住む爺さんが見かけて止めようとしたが振り切って行ってしまったらしい」

「くそ! なんてことだ! 皆を集めてすぐに追いかけるぞ!」


 事情を聞くとどうやら村の悪ガキ3人が無謀にも群生地に居座る魔獣の討伐に行ってしまったらしい。3人は子供の割には腕が立つようで、この間はDランクのボアードを倒したらしい。それで自信をつけ過ぎたのだろう。大人たちにラーガだけには近づくなと注意されたが耳には入らなかったのだ。

 だけど、今朝3人が出発してからそれほど時間は経っていない。おそらく大人たちに追いつかれ連れ戻されるので大丈夫だろう。


 しかし、事情を聞いたネリアは顔面蒼白になった。

「ど、どど、どうしよう! 大変だわ!」

「どうしたのネリアちゃん? 大丈夫だと思うけど」

「大丈夫じゃないのよ! 実はトム、大人には隠しているんだけど、瞬間移動スキルを持っているの。だから今から皆が追いかけても追いつけないかもしれないの」


「トムには秘密にするように言われたけど、もっと早くに誰かに言っておけば………」

 そう言ってネリアは泣き崩れた。

「だいじょうぶよネリアちゃん! 私たちなら追いつけるかもしれない」

「本当! お姉ちゃん。でも、どうやって?」

「私も瞬間移動スキルを持ってるの。きっと追いついて連れ戻してくるわ」

「お姉ちゃんも持っているの! よかった、ありがとう。3人ともバカだけど私には大切な友達なの。どうか3人のことお願いします」


 さて、これは大変なことになった。つい安請け合いしてしまったけど、本当に追いつけるのだろうか? トムの瞬間移動スキルのLvを聞いてみると7だった。僕より1つ高い。ちょっと厳しいな。けど今村には瞬間移動スキルを持っている人間は僕1人しかいない。それに神様クエストのネリアのお願いはおそらくこのことだ。なんとかやってみるしかないだろう。連れ戻す方法やラーガに遭遇した時のことは移動しながら考えよう。

短編書きました。

攻め攻めの主人公が受け受けになる話をどうしても書きたくなってついやってしまった。若干エッチになってます。


そのせいかどうか大分開いてしまいました。申し訳ない。

今後も不定期になりそうですが読んでいただけるとありがたいです。

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