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遭遇3

今日は町を散策しよう。

あと、商店を見て回り、何が売れるのか分かれば商売でお金を稼ぐこともできるかもしれない。


この町は割と大きな町のようで、雑貨に食糧品、武器、防具などいろんな種類の店がいくつもあった。


ちなみに。アーサー曰く町の治安はそれほど悪くはない。ただし、路地裏や真夜中は除く。また、場所によっては治安の悪い場所がある。

町の中心部と主要道路付近は衛兵が巡回しているため、昼間に犯罪が起こることはほとんどないらしい。逆に町の外縁部だと衛兵の巡回が少ないため治安が悪くなっている。

ギルドや商店、宿は中心部と主要道路にあるため治安の悪い場所には行く必要は無い。


防具屋を冷やかした後外に出ると悲鳴と男の怒鳴り声が聞こえた。


見てみると斜め向かいの商店の前で二人の男女を10人ほどのガラの悪そうな男が囲んでいた。

囲まれている内の一人は髪とひげがきれいに整った初老の男性でもう一人は赤い髪をツインテールにしている少女で見ただけで勝ち気そうな雰囲気が伝わってくる。というか、こんな状況で周りの男を虫けらでも見るような見下した表情をしている。

囲んでいる男たちは刃物を二人に向けていてかなりやばそうな状況である。

(あれ、ここは治安のいい場所なんじゃなかったっけ?)


「やっと見つけたぞ! てめえのせいで散々な目にあったんだ。覚悟はできているんだろうな」

「あら、なんのことです? わたくし、ゴミ虫と関わった記憶なんてありませんよ」

「なんだと! このアマ、ぶっ殺してやる」


やばい、なんか険悪になってるこっそり逃げよう。


「楽に死ねると思うなよ! 生け捕りにしてさんざんゴフェッッ……」

ガシャンと何かが割れる音がして、しゃべってる途中の男が仰向けに倒れた。

顔から血が噴き出し、地面には皿と思われる破片が散らばっている。


「あなた方、道を塞いでいて邪魔です。あと、声が大きくて不愉快です。さっさと黙って道を開けなさい。

さもないと、この非常に割れやすい薄薄なお皿をぶつけますわよ」

「お嬢様、もうすでにぶつけてらっしゃいます」

「てめえ! よくもやりやがったブハァッ……」

何が起きたのかよく見えない。

少女の手がぶれたと思ったら男たちが次々に顔を仰け反らせて倒れていく。

近づくことができた男もあと一歩のところで吹き飛ばされる。初老の男の体が一瞬ぶれた様に見えるが速すぎてよく見えない。

ものの数秒で大半が倒され、逃げ出しても数歩もいかない内にお皿をヒットさせられる。

吹き飛ばされた内の一人は奇跡的にダメージが少なく動ける状態だった。しかし、仲間たちの様子を見てこれは逃げられないと判断した男はちょうど近くにいた少女を人質にすることにした。


「動くな! 動くとぶっ殺すぞ!」

って! のんきに見てたら人質になってしまった。

手をひねられ、首に刃物を当てられている。手が痛い。


「てめえらも近づくんじゃねえ! 近づいたらゲボォッ……」

最後の一人もあっけなく倒された。

というか、僕の顔の横すれすれを高速で何か通ったよ。あと数センチずれてたら僕の顔が大変なことになってたよ。


人質からは解放されたが、正直この二人かなりやばい気がする。

あまりお近づきになりたくないが、なんかこっちに近づいてきている。今更逃げれそうにない。


「迷惑をかけてしまったみたいですわね」

「いえいえ大丈夫ですよ。怪我もありませんので」

「あら、手の甲が切れてますわよ。きっとゴミ虫のナイフが当たったのね」

いや、たぶんあなたの投げた皿の破片じゃ……。

「怪我をさせた以上お詫びしなければいけませんわ。今は手持ちがありませんので、どうぞ屋敷までいらしてください」

「いえいえお気遣いなく。お詫びされるほどのことじゃありませんよ。

あ、私今から用事がありま「さあ! いきますわよ」」


あれ? なんか手をものすごい勢いで引っ張られて、どこかに連れて行こうとされている。力が強くてはがせそうにない。

「いえ、ちょっと、お詫びとかいいですから」

「わたくしの屋敷は最近この町に建てたばかりでして、大きな浴室があってちょっとした自慢ですのよ」

やばいこの人、人の話を全然聞かない。


「あ、そうそう自己紹介がまだでしたわ。わたくしはエアリー・ホーガン。冒険者ですのよ」

「私はアンディーと申します。エアリーお嬢様の執事をしております」

「私はトモミといいます。たぶん、そのうち商売とかします。

エアリーさんは執事が付いてるってことは貴族の方ですか?」

「ええ、わたくし趣味で貴族もやってますが、本業は冒険者ですのよ」

たぶん逆なんじゃないだろうか。本人がそういうなら別にいいけど。

「それではトモミ。わたくしのことはエアリーと呼び捨てで呼んでくれてもかまいませんわ」

いいのかな? まあいいか。

「わかったわ、エアリー」


そうして僕はほぼ無理やり屋敷に招待された。

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