環境
僕は冒険者ギルドから紹介された店で向うの世界から持ち込んだ物をいくつか買い取ってもらった。
まず日本では安く買えるガラス製品を売ってみた。
ガラス玉10個とグラスのコップ2個が1万カルフほどで売れた。
宿は一泊600カルフほどなので、これは結構高い。
透明なガラスは珍しいらしい。
というわけで通貨の説明。
僕が今いる国では貨幣にカルフという単位が使われている。
硬貨の種類は金貨、半金貨、銀貨、銅貨、小銅貨、粗銭に分かれており、以下のようになっている。
粗銭=1カルフ
小銅貨=10カルフ
銅貨=小銅貨10枚=100カルフ
銀貨=銅貨10枚=1000カルフ
半金貨=銀貨10枚=1万カルフ
金貨=半金貨10枚=10万カルフ
一般的な家庭がひと月にかかる生活費はだいたい銀貨8枚の8000カルフほど、1年間だと10万カルフほどになる。
割と贅沢に暮らそうと思ったら、月に2万カルフほどは稼ぎたい。
ちなみに、ホーンラビットから剥ぎ取った素材は冒険者ギルドで買い取ってもらったが300ほどだった。
ほんとに冒険者は実入りが少ないみたいだ。
稼ぐ方法はのちのち考えていこう。
ガラスの他にも、ハンカチ1枚、和紙を数枚、ナイフ1本を売ってみたらどれも高値でうれた。
あまりいっきに売ってしまうと目立つので今日はここまでにしよう。
それでも、どこで手に入れたのかと興味しんしんに聞かれたので、祖父のコレクションを持ち出したと適当に答えた。
所持金は3万カルフほどになった。
あまり頻繁に高額の品を売っていると強盗とかに狙われそうなので、当面はこの金額で生活しよう。
___
さて、今日からしばらくだらだらするつもりだが、その前に環境を整えないと……
今いる宿はそれなりに安全性が高いようなので他に移る必要は無いだろう。稼げるようになってから家は買ってみよう。
まずは冷暖房だが今は必要ない。四季はあるらしいのだが今は過ごしやすい気温のようだ。
次にベッドだが、やはり硬いため今は寝袋を下に敷いて寝ている。布団やマットはかさばるので持って来ていない。僕のアイテムボックスは重さではなく体積で制限されるので泣く泣くリストからはずした。今後現地調達しよう。
風呂は入る習慣が無いみたいで水浴びか濡れタオルで体を拭くしかない。まあ元々風呂は好きな方じゃないのでなくてもいいや。女の体になっても性格は変わらない。
家庭用バッテリーと超小型冷蔵庫を出す。うん……ちゃんと動く。冷たい飲み物OK~!
バッテリーは修復機能付きのアイテムボックスに入れているので出し入れするだけで、充電が完了する。すげー便利。
ノートパソコンを取り出す。これも修復機能付きのアイテムボックスに入れているので壊れる心配はない。この中と外付けHDにはありったけのアニメ、漫画、ゲーム、Web小説を詰め込んだ。未読や未視聴のものもたくさんある。
よし! 僕が生きていく上で必要なものはだいたいそろった。
今日は一日宿の部屋にひきこもった。あ~幸せ~。
____
次の日、首が痛い体の関節が痛い。一日中運動せずに部屋に籠ってたのはまずかった。
まったく、部屋に籠ってパソコンでアニメを見ているだけじゃあ異世界に来た意味がない。
今日はインドア娯楽は無しにして町を見て回ろう。
そうそう異世界でしてみたいことといえば。
その1、ハーレム。まあ男の夢だよね。今は女だけど。
僕は二次元と三次元を5:1の割合で愛しているから、恋愛をするつもりはあんましない。
エッチなサービスしてくれるお店なら試してみても……って今女だった。
その2、俺tueeeee……無理
その3、奴隷
うう……地球での常識や良心が僕の選択を妨げる……保留。
その4、美食 今日はこれかな。
今までの宿とかの食事は食べれないくらいまずくはないが、特に美味しくもなかった。
探せばもう少しおいしい料理があるかもしれない。
今日はそれを探しに行こう。
部屋から出て宿の1階に降りると、アーサーとマーズに会った。
二人とも今から狩りに行くらしい。
「トモミもついて来ないか?」
ナチュラルに仕事に誘うな! 働きたくないでござる。
「遠慮しておきます。私には美食を探すという大事な用事があるので」
「トモミ、昨日は部屋に籠りっきりで今日は食べ歩きって、お金は大丈夫なのか?」
「当面は大丈夫です。しばらくしたら働くので心配しないでください」
「そうか、じゃあおすすめの店を紹介するよ。あと、働きたくなったらいつでも声をかけてくれ。困った時も相談にのるよ」
「ありがとうございます。それではお気を付けて」
いい人なのだが何度も仕事に誘うのは勘弁してほしい。
おすすめされた店は何かの肉をじっくり煮込んだシチューや薄いパンの上に様々な具材をたっぷりのせて焼いた料理などがかなりおいしかった。