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罠の手作り

「やっぱり諦めが肝心ですね。そろそろ帰るとしましょう。」


 僕が唐突にこう言うと、アーサーはちょっと驚いていた。


「意外だな、てっきり時間ぎりぎりまで粘ると言うと思ってたぞ」

「まだ私には荷が重かったようです。次の機会に挑戦したいと思います」

「そうか。じゃあ戻って飯でも食うとしようか」


 そうして、野営地の方へ歩きだすわけだが、僕は80mごとに目印を付けていく。

 野営地に戻ると僕はちょっと厠へいくと言ってこっそり瞬間移動を行い、林の中に戻って来た。

 これで今からすることをアーサーに見られずにすむ。

 先ほど罠にちょうどいい場所を見つけたのでそこまで行く。

 帰るときは80mごとの目印に瞬間移動していけば、一人でも帰ることができる。


 先ほど見つけた場所というのは、岩と木によって人一人がかがんで通れるぐらいの小さなトンネルができている場所だ。

 ここに罠を張り、ホーンラビットを通らせる計画だ。

 


 釣り糸と釣り針を使って罠を作る。単純に糸が引っ張られると釣り針が引っかかる罠と釣り糸で輪っかを作り、引っ張られると輪っかが絞まる罠、これらを複数設置する。

 失敗したらまた別の方法で罠を作ってみよう。

 そして、罠の位置を確認しながらホーンラビットを探す。

 すぐに見つかった。この林では遭遇率が高いような気がする。それとも異世界ではこれが普通?

 

 数回の遭遇でスピードにも慣れた。ぶつかってくる前に瞬間移動を繰り返す。

(よし! ちゃんと追いかけてくれてる)

 最後にトンネルの反対側に瞬間移動する。

(通れ! 通った!)


 トンネルを通ったホーンラビットは見事に釣り糸に絡まった。

 逃れようと暴れだすホーンラビットに包丁を振り下ろす。

 2回ほど失敗し、3回目に命中させることができた。


 ステータスを見ると、新しい文字が付け加えられていた。


 クエスト№1 クリア済み

 報酬はアイテムボックス内に入っています。


 クエスト№2

 冒険者ギルドに登録しよう

 報酬:銀貨10枚(銀貨1枚は一万円に相当)


 クエスト内容はなんのひねりも無く普通だな。


 ホーンラビットは殺しても消えたりはしなかったので野営地に持って行った。


「どこまで行ってたんだ。遅かったんで心配したよ。…ってそれホーンラビットか!」

「ええ、さっき遭遇したんだけれどたまたま仕留めることができたの」

「すごいな。初心者じゃあ何十回挑戦しても仕留められないこともあるのに。

トモミは魔獣の解体とか剥ぎ取りって……したこと無いよなぁ。

今からするけど見てみるか?」

「はい、お願いします」


 モンスターを倒せばアイテムがドロップされるっていうわけにはいかないのか…

 肉は食べることができ、皮などの素材は売ることができるらしい。

 ていうか、魔獣と普通の動物の違いってなに?


「え? 魔獣と動物の違いだって?

魔獣は解体すると体の中心あたりから魔石っていう石を取り出すことができる。これが動物との一番の違いだ。

後、理由はわからないが魔獣は人を見ると必ず襲いかかってくる。

普通の動物は捕食などの理由が無い限り襲いかかってくることはない。

この林にもネコ科の肉食動物がいるが、人をむやみに襲ったりはしない」


「へーこの林、肉食動物がいるのですね」

「ああ、でも警戒心が強くてあまり見る機会は無いな。素早いやつでホーンラビットを捕食しているらしい」


 普通の動物に捕食される魔獣って……


 ホーンラビットの肉はちょっと臭みが気になるがそれほどまずくはなかった。


____


 その後、馬車はゆっくりと進み、次の日の夕方に町に到着した。


 到着した日はもう遅い時間になっていたので、アーサーたちのおすすめの宿に泊まることにした。

 商人のマイルは別のところに泊まるらしく、ここで別れることになった。

 馬車に乗せてもらったお礼をしようとすると、お礼は無くてもいいと言われた。


「はっは、むさい男だけの旅だったからね。お嬢ちゃんがきて旅のしんどさが半減したよ」



 次の日、僕はアーサーから場所を聞いて冒険者ギルドに向う。

 後ろからはアーサーとマーズが付いてきている。


「いや、俺たちも今から冒険者ギルドに行くつもりだったんだ」

「それじゃあ冒険者ギルドでお別れということになりますね。いろいろとありがとうございました」

「………」

「どうしました?」

「なあ、トモミはこれからどうするつもりなんだ。冒険者をするつもりか?」

「ええ、まずは冒険者から初めてここで自活できるようにしたいと思ってますよ」

「だったらしばらく俺たちと一緒に行動しないか?

一人で冒険者をするのは危険だし、最初は思うように稼げないもんなんだ」

「ありがとうございます。でも、一人で気楽にやっていきたいので、気持ちだけ受け取らせていただきます。そんなに危ないことはしないつもりですので。

お金も換金できるものを持ってますので大丈夫です」

「だけど、トモミ一人というのはやはり心配だ」

マーズ「だがアーサー、俺たちと嬢ちゃんではランクが違いすぎてパーティーは組めないぞ」

「しかし……」


 アーサーはちょっと過保護すぎるんじゃないかな。

 正直、知られたくない秘密が多いので誰とも組みたくない。

 さっさと別れてしまおう。


「低ランクの依頼につきあわせてしまうのも悪いので、やはり一人でやっていきます。

それではごきげんよう」

「え……でも……」


 ちょうど冒険者ギルドの看板がある建物が見えたので、別れの挨拶をしてさっさと入ることにした。

 とは言え僕は冒険者としてあくせく働く気はまったくない。換金できるものを売って、しばらくはだらだらと過ごすつもりだ。アーサーたちと行動を共にしたら働かなくちゃいけないじゃないか!

 

 僕は快適な生活をしながら異世界を楽しみたいんだ。

 異世界に来たときは周りに人がおらず危険な場所にいたため僕は活動的になっていたが、本来の僕はインドア派なんだ。

 町までこれたのだから、まず快適な環境を整えそのうえで異世界の娯楽を満喫したいんだ。


 冒険者ギルドでは登録と情報収集だけすることにしよう。

 そして、どちらも短時間で終わった。

 冒険者ギルドにはステータスを読み込む魔道具があり、それによって登録ができカードも作られる。(スキルの表示は任意で拒否することができるので異常なスキルを持っていることはばれずにすんだ)


 後は宝石などを買い取ってくれる場所を聞き、ギルドをあとにした。

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