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第1章三

『何故でございますか。父上』


青年は叫んだ。


この青年にしては珍しく、感情が高ぶっていた。

青年の名前は、升。

称号は「奴国王・しょう

倭国においては大宰たいさいである。


大宰たいさいとは、宰相の事。

倭国とは、三十の国からなる連合制の国であり、国主は伊都国の日の巫女であるものの、実務は奴国王が司る。


奴国王は、その連合においての盟主であり、実質の支配者でもある。

地の理を活かし、国力は他国を圧倒する。

倭国全ての人口は10万戸、その内、奴国は5万戸である事からも、その権勢が窺える。


また、倭国の玉璽もこの国が持つ。

それは、初代奴国王が漢の光武帝より授かった印綬に起因する。

漢は大国であり、その天子はこの世界の盟主である。

彼の国より、正式に王として認められている国は奴国だ。

歴代の奴国王は、升という御名と玉璽を継承していた。

玉璽の色は金色に輝いており、その版図は、馬韓ばかんから南東の地域全てであると言ってもよい。


ただ、先の四十年にも及ぶ大乱を経験し、先々王は名より実を取った。

戦乱による経済の疲弊、人口減少、それによる厭戦気分からくる不満の高まりは拭う事が出来ず、現人神と呼ばれていた「日の巫女」を盟主に据えて、連合制に移行したのだ。


国主が神であれば、抗う者もいない。また、日の巫女に謁見出来る者は、先々王の息子である先王のみに限らせた。霊力が落ちるという大義名分を盾にして。

これにより、象徴を得た奴国は、「倭国大乱」という大津波を乗り切ったのだ。


以来、国主は「日の巫女」、その宰相たる大宰たいさいは奴国王・升。

この体制は、今に至るまで既に三十年が経過し、安定期という段階であった。


だが、今上王である若き升は憤っていた。

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