シンデレラは舞踏会でサンバを踊りたい
昔々、シンデレラという一人の少女がおりました。
シンデレラは意地悪な義姉や義母に虐げられ、貧しい生活を送っておりましたが、ある日お城で舞踏会が開かれると聞き、自分も行きたいと思いましたが外行きの服も無く、ただ窓辺からお城へ向かう馬車達を眺める事しか出来ませんでした。
「やあ、シンデレラ。君を舞踏会へ連れて行ってさしあげよう」
黄昏れるシンデレラの前に魔法使いが現れ、シンデレラに向かってステッキを振りかざしました。
「どんな素敵なドレスがいいかな?」
魔法使いがそうたずねると、シンデレラは笑顔でこたえました。
「サンバ! ビバ、サンバ!」
魔法使いは少しだけ固まって、引きつった笑顔で魔法をかけました。
電飾が眩しい巨大な馬の山車に乗り、お城へ到着したシンデレラは、さっそく見張りの兵士に止められました。
「ノー!」
「ノーノー!!」
巨大な電飾の塊に兵士達が困惑しながら叫びました。
「あらゴメンナサイね。駐車場はあっちだったかしら?」
山車から降りたシンデレラはそのまま城内へと歩き出しましたが、素早く兵士達に囲まれました。
「ノー!」
「ノゥ!!」
兵士達がシンデレラの衣装を指さして叫びました。
「What?」
シンデレラは全身に飾られた羽根を震わせてこたえます。
「サァンバ!!」
「NO!!」
「NG!!」
兵士は舞踏会のドレスコートのイラストが書かれたフリップを取り出し指で叩きました。
舞踏会では地面スレスレの長いスカートという決まりがあるのです。
もちろんシンデレラはサンバの衣装ですから、脚が丸出しです。はい。
「そんな決まりがあるなんて聞いてないんだけど」
なんとか兵士達を説得しようと試みますが、兵士達は首を横に振り、気が付けば十二時の鐘がなってしまいました。
「急がないと! 衣装の延滞料金が!」
シンデレラは慌てて走りました。
あまりにも慌てて帰ったので、山車とガラスの靴をわすれてしまいました。
「ふむ、これは……」
お城の王子が眩しい馬の山車を見て頷きました。
翌年、隣国に眩しい巨大な馬の山車が贈られました。
隣国は物珍しさで城内に飾りましたが、山車の中には兵士達が大勢潜んでおり、夜になると中から出て来てあっと言う間に城を制圧してしまいました。
「あの少女のおかげで戦争に勝つことが出来た。ガラスの靴の持ち主を探し出すのだ。婚約者として丁重にもてなせ」
こうしてシンデレラは無事に王子と結婚することが出来ました。めでたしめでたし。




