第6話 ぱーてぃー
花に案内されて館に入ると、広々とした大広間(広いから大広間なんですが!?)が目の前に広がっていた。ろうそくがたくさん灯された豪華なシャンデリア、高級感あふれるレッドカーペット、火が大きく燃えている暖炉。階段を上がると長い廊下に無数の扉があふれている。
「どうぞこちらの部屋をお使いください。ごゆっくり。」
どうやらここの部屋を好きに使っていいらしい。全くの初対面なのにすごい待遇である。
「すごいすごい、部屋にドリンクバーがある!」
分かりやすく喜びながらコーラと乳酸菌飲料のMIXを注ぎ始めた唯を、結城はほげ~っと見ている。
「何だい、注がないのかい?そこにジュースがあれば飲むのが紳士たる振る舞いであろう?」
謎理論を展開している唯を白い目で見ていた結城であったが、誘惑に負け、ジンジャーエールを注ぎ始めた。そして、ごくんごくん…。
「くぅ~、美味い!!!」
ジンジャーエールをキメた結城の雄たけびにぎょっとする唯。結城よ、引かれているぞ。その後もこの調子で満喫したのだった。
日が沈み、暗くなってきた頃、花さんがやってきた。
「夕ご飯の準備が整いました。よろしければ大広間へいらっしゃってください。」
「ありがとうございます。後ほど伺います。」
なんとなく敬語を使ってしまう結城。階段を下りると、大きなテーブルいっぱいに様々な料理が並んでいた。ハンバーグからパスタ、サラダにパン、ナンやカレーまである。そして他にも招かれた人たちが集まっていた。もう完全にホテルのバイキングである。いや、それ以上の規模の食事に感無量というか、驚愕であった。2人は感謝しながら頂くことにした。
「ナンうめ~~~~!!」
「カレーも美味しいですわね。」
結城はナンとインドカレー、唯はカレーライスを食べた。どちらもとてもおいしく、2人とも満足気である。
「あら、あなたたち若いわね。どうしてこちらへ?招かれたの?」
化粧をした熟年女性が話しかけてきた。
「はじめまして。私たちは偶然こちらにたどり着いたのです。気前よく接待していただけて嬉しい限りです。」
「そうなの。ここの森を歩いて来るのはさぞ大変だったでしょう。」
「あなた方はどうしてここに?」
逆に質問してみた。
「私たちはとある人が企画したパーティーに参加しているの。ここへはその人が手配してくれた馬車で来たのよ。」
「そうなんですね~。」
どうやら特別なパーティーが開かれているようだ。邪魔にならないように過ごすとしよう。
こうして館ではパーティーが始まろうとしていた。その後何が起きるかも知らずに。