第2話 白川だいじょうぶ?
白川が心配である。唯よ、ちとやりすぎではないだろうか。いくら反応がないからといってそこまでやるのはライン越えであると述べておきたい。彼女は少し狂っているらしい。だが気にかけてやってほしい。君も結城の立場であったなら、何も言わずされるがままになっていたはずであろう?どうか彼女を気にかけてやってほしい。
さて、改めて白川結城が心配である。彼は一体どうしてしまったのか。さすがの唯も心配になっていた。
「ねぇ、どうしたの?何か言ってよ。いつもだったら『こんのやろぉ!』とか『何やってんだよおおぉぉ!!』とか言って喜んでくれるのに。無視されて私悲しいよ。」
そう言うと、唯はアイスを咥え、耳に綿棒が入り、鼻がティッシュで塞がり、尻に割りばしが刺さり、アイマスクをしている結城を枕で叩き始めた。
「なんで、何も、言わない、の!」
傍から見ていて心配になる。結城よ、生きておるか?鼓膜が破れないかとか尻が割けないかとかよりも、彼の安否が心配である。ちなみに彼は毎年唯に好き勝手されているが、今回はなかなか過激である。
「もういいもん。そっちがその気なら…。」
何か不穏な空気が漂い始めた。いや、かなり前からそうだったのかもしれない。唯が手にしたのは、釣り竿であった。
「ふっふっふ。これで、つるし上げてあげよう!」
先端の釣り針をTシャツの首元に引っ掛け、リールを巻き始めた。未だ結城は反応しない。なんなんだこの2人は。本当に大丈夫?
「意識が戻るまで、腹パンしてあげるわ!」
釣り竿でつるされ、口にアイス、耳に綿棒、尻に割りばし、その他諸々の結城に、問答無用でパンチを腹に食らわせ始めた。Mなら歓喜なのかもしれないが、見ていてただ痛々しい。そして何をしているのか全く理解できない。何なんだ彼らは。幼馴染の関係ってこういうものなのだろうか。そろそろさすがに戻ってこい。生きていても死んでしまいそうだ。
「…おお、唯。何してるんだ?汗が滴っていい女だな。」
なんだこの男は。この状況でどの口がそんなキザなセリフを繰り出すんだ!お前は今、つるされ、口にアイス、腹にパンチ、耳に綿棒、首に冷やしタオル、尻に割りばしだぞ?正気か!?そしていつの間にか外れているアイマスク。吹き飛ぶほどのパンチを食らっていたのか。化け物すぎだろうよ。
心配して損した。そして唯の暴挙をものともしないキショイ男であると感じさせられたのであった。
※くれぐれもマネをしないように。彼は特殊な体質です。