せんたくばさみと紙テープ
せんたくばさみ、好きなんです。
ふつうのはさみの切れ味が悪いと
ぼくってだめなはさみだなあって
おちこむんだろうけど
せんたくばさみが ちょきちょき切れたら
たいへんなことになる
セロテープやガムテープはくっつくのに
紙テープは ぺたりともせずに
ぜんぜんくっつかないけど
そのことを気にするふうでもなく
くるくると巻かれてる
見ためが似てて
おなじような名前をつけられて
ひとまとめにされてても
役割がちがうんだから
ちょにちょき切れないことや
ぺたりとくっつかないことを
恥じることも 気に病むこともないって
せんたくばさみや紙テープはちゃんと知ってるから
じぶんの仕事に精を出せるんだ
たとえば きみとぼくだって
おなじいきもの ちがう人間 なんだもん
きみにできることが ぼくにできなくったって
ぼくにできることが きみにできなくったって
そんなのはたいした問題じゃない
むしろ
きみがすべきだけど ぼくがすべきじゃないことや
ぼくがすべきだけど きみがすべきじゃないことを
むやみにしないように 気をつけないといけないよ
さもないと たいへんなことになる
せんたくばさみが ちょきちょき切れたり
紙テープが ぺたりとくっついたら困るでしょ?
せんたくばさみも、紙テープも。いろんな色があって楽しい。